2011/9/14

ロシア

ガスプロム、極東のパイプラインが開通

この記事の要約

ロシア国営ガス会社ガスプロムが建設したサハリン=ウラジオ・パイプラインが8日開通した。サハリン沖で生産する天然ガスを極東の中心都市ウラジオストクまで輸送するパイプラインで、開通は慢性的な電力不足に悩む極東地方にとって大き […]

ロシア国営ガス会社ガスプロムが建設したサハリン=ウラジオ・パイプラインが8日開通した。サハリン沖で生産する天然ガスを極東の中心都市ウラジオストクまで輸送するパイプラインで、開通は慢性的な電力不足に悩む極東地方にとって大きな意味を持つ。開通式に出席したプーチン首相は「発電所はガスの使用を大幅に増やすことで安価に発電できるようになる」と述べ、同地方の経済活性化に期待を示した。ガスプロムは将来的に、ウラジオストクに着いた天然ガスを日本、中国、韓国などアジア太平洋地域へ輸出することも計画している。

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パイプラインは全長1,350キロメートルで、サハリンからハバロフスクを経由してウラジオストクまで伸びる。サハリン対岸の大陸側都市コムソモリスク・ナ・アムーレとハバロフスクの間の既存のパイプラインを加えると総延長は1,830キロメートルになる。

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ガスプロムによると、2010、11年の同パイプライン向け投資コストは1,960億ルーブル。09年に着工したが、同年のコストは明らかにしていない。輸送能力はまず年間60億立方メートルで、2020年には300億立方メートルまで拡大する計画。投資コストは最終的に4,670億ルーブルに上る見通しだ。当面はサハリン沖資源開発計画「サハリン2」で生産した天然ガスを供給するが、「サハリン1」からの供給も検討しているという。

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■アジア太平洋地域への輸出も計画

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今回のパイプライン開通は、ウラジオストクを拠点にアジア太平洋地域への天然ガス輸出を拡大するというロシア政府の計画を一歩押し進めることになる。現在、ウラジオストク港から液化天然ガス(LNG)タンカーで日本に輸出するルートと北朝鮮経由のパイプラインで韓国に輸出するルートが計画されており、ガスプロムは今年4月、ウラジオストクのLNGプラント建設について、伊藤忠商事や丸紅など日本側と事業化調査を共同実施することで合意した。建設予定のLNGプラントの年産能力は1,000万トン(約137億立方メートル)で、「サハリン2」でロシアが予定する年間輸出量に相当する。

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また、8月には、メドベージェフ大統領と北朝鮮の金正日労働党総書記が、ロシアから北朝鮮を経由して韓国に天然ガスを輸送するパイプラインの建設に向けて両国共同の調査委員会を発足させることで合意。これまで政治的理由から実現困難と思われていた北朝鮮ルートも現実味を帯びてきた。(1RUB=2.54JPY)

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