2011/10/12

総合・マクロ

墺エルステ銀、中東欧事業の減損処理で大幅赤字の見通し

この記事の要約

オーストリア大手銀行のエルステ・バンクは10日、ハンガリー、ルーマニア事業で計9億3,900万ユーロに上る減損処理を行うため、今年の最終損益が最大8億ユーロの大幅赤字になるとの見通しを示した。また、2011年は無配とし、 […]

オーストリア大手銀行のエルステ・バンクは10日、ハンガリー、ルーマニア事業で計9億3,900万ユーロに上る減損処理を行うため、今年の最終損益が最大8億ユーロの大幅赤字になるとの見通しを示した。また、2011年は無配とし、金融危機の際に受けた12億ユーロの公的資金についても、返済を少なくとも1年間延期することを明らかにした。エルステはすでにギリシャやユーロ圏周辺の債務国の事業を3分の2縮小したうえ、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)取引の評価損も計上しており、9月末までの純損失額は9億2,000万~9億7,000万に達しているという。

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ハンガリーでは、個人が低金利にひかれスイスフランやユーロの外貨建て住宅ローンを借り入れたが、ユーロ危機に伴うフォリント安の進行で返済に困るケースが急増。政府は9月に、ローン残金の一括返済を条件に割安な固定換算レートを適用する救済案を議会で通過させた。為替差損や諸手数料は融資銀行の負担となる。ハンガリーで多額の外貨建て融資を実施してきたエルステは今回、負担増を見込み、同国事業ののれん代3億1,200万ユーロを一括償却するうえ、4億5,000万ユーロの貸倒引当金を追加計上する。一方で、新たに6億ユーロの資金注入を行う方針だ。外貨建て融資は今後、行わないとしている。

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また、ルーマニア子会社BCRでは約7億ユーロの減損処理を行う。エルステは9月にBCRの株式24.12%を追加取得することでルーマニアの4つの投資ファンドと基本合意した。ただ、買収額(BCR株価)は2006年の民営化時にエルステが株式61.9%に支払った額の3分の1であるうえ、簿価も大幅に下回る水準であることから、評価損を計上する必要性が指摘されていた。今回の減損処理で簿価は11億ユーロに縮小する。

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