2011/10/19

総合・マクロ

ウクライナ前首相に実刑判決、EUは関係見直しも

この記事の要約

欧州連合(EU)のアシュトン外交安全保障上級代表は11日、ウクライナのティモシェンコ前首相が職権乱用罪で実刑判決を受けたことについて懸念を表明、対ウクライナ政策を見直す方針を明らかにした。\ ウクライナの首都キエフの地区 […]

欧州連合(EU)のアシュトン外交安全保障上級代表は11日、ウクライナのティモシェンコ前首相が職権乱用罪で実刑判決を受けたことについて懸念を表明、対ウクライナ政策を見直す方針を明らかにした。

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ウクライナの首都キエフの地区裁判所は11日、前首相が2009年にロシアと合意したロシア産天然ガス輸入合意は職権乱用にあたるとして、禁固7年と15億フリブナ(1億8,730万米ドル)の罰金の支払いを命じる有罪判決を言い渡した。前首相側は控訴するとともに、欧州人権裁判所へ提訴する方針を示している。 

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アシュトン代表は、判決に深い失望感を表明するとともに、この判決は、「公正、透明で独立した司法プロセスに関する国際基準を無視したものだ」と批判。「EUとウクライナの相互関係に重大な意味を持つ」と指摘し、ウクライナとの間で年内締結を目指した安定連合協定にも影響するとの考えを示した。

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■EU、ウクライナとの20日の会合を延期に

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EUは18日、20日に予定していたウクライナとの会合を延期すると発表した。ヤヌコビッチ大統領がブリュッセルを訪問し、安定連合協定に関して協議する予定だったが、EUのアシュトン代表は「(EUとウクライナの)関係改善に適した時期が来るまで延期する」と発言。さらに「ウクライナは法の順守、司法の独立に関して前進する必要がある」と述べ、11日のティモシェンコ前首相の実刑判決が延期の理由であることを明確にした。

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今回の延期決定に先立ち、欧州議会の複数の議員からは、ヤヌコビッチ大統領のブリュッセル訪問を受け入れないよう求める声が相次いで挙がっていた。また、中東欧のEU加盟国であるチェコ、ハンガリー、ポーランドの首脳は14日、「ティモシェンコ前首相が刑務所にいる間に、EUがウクライナとの安定連合協定を批准することは考えられない」との見解を示した。

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ティモシェンコ氏は04年の民主化運動「オレンジ革命」の立役者。ユーシェンコ前政権で2度にわたり首相を務めたが、昨年の大統領選でヤヌコビッチ現大統領に小差で敗れた。今回の裁判の背景には、「政敵」であるティモシェンコ氏を排除しようという現大統領の思惑があると見られている。

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