2011/11/2

ロシア

国政選挙、政治への失望が与党の追い風に=独立系調査機関

この記事の要約

ロシアの独立系世論調査機関レヴァダセンターによると、12月の下院選挙、3月の大統領選挙でプーチン氏と与党「統一ロシア」の勝利が確実となっている背景には、積極的な支持というよりも、政治への失望と現政権に代わる政治勢力がない […]

ロシアの独立系世論調査機関レヴァダセンターによると、12月の下院選挙、3月の大統領選挙でプーチン氏と与党「統一ロシア」の勝利が確実となっている背景には、積極的な支持というよりも、政治への失望と現政権に代わる政治勢力がないという事情がある。

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先月実施した調査によると、ロシア人の24%がプーチン氏とメドベージェフ氏の役職交代を「国民の背後で行われた取引」とみている。また、85%は政治に参加することが許されていないと考えている。選挙結果が事前に決まっており、また、信頼できる対抗馬が存在しないことから、プーチン反対派の多くが棄権する可能性が強い。

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一方、地方自治体をも牛耳る「統一ロシア」はその人脈を生かし、国家に生活を大きく依存する兵士、学生、公務員などを選挙に動員できる。結果として、「統一ロシア」の得票率は実際の支持率を上回り、目標である3分の2の議席獲得に手が届くことも大いにありうる。

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野党の議席配分については、いくつの政党が得票率7%の阻止条項をクリアできるかが焦点となる。共産党と自由民主党(LDPR)は7%を上回る見通しだが、「公正ロシア」はぎりぎりというところ。下回れば「統一ロシア」の議席数は増える。

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さらに、票の水増しなどの不正行為で得票率が引き上げられることもほぼ確実だ。レヴァダセンターでは、前回2007年の下院選挙ではモスクワで投じられた票の12%が不正なものだったと推定している。

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投票率が低ければ低いほど「統一ロシア」に有利となる状勢だが、投票率は2007年の63.8%から59%に低下すると予想されている。

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大統領選挙は、第1回投票でプーチン氏が過半数を確保して当選する公算が高い。同氏は66%の支持率を誇る国内で最も人気の高い政治家。石油を武器にロシア経済が復活した2000~08年の再来への期待と、他に選ぶ人がいないという現実が有利に働きそうだ。

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レヴァダセンターでは、政治に対する失望が個々の抗議につながる可能性はあるが、これが近い将来、大規模な運動に広がることはないとみる。全国的な動きに成長するのは、早くても生活水準が大幅に悪化するとみられる2016~17年までかかる見通しだ。

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