2011/10/26

コーヒーブレイク

国会議場に十字架は必要?~ポーランド

この記事の要約

10日の下院選挙で、初挑戦で第3党となった「パリコト運動(RP)」のパリコト党首が、議場の壁にかけられた木製の十字架を取り外すよう要求したことで、カトリック王国のポーランドに衝撃が走った。RP以外の政党は与野党ともに反対 […]

10日の下院選挙で、初挑戦で第3党となった「パリコト運動(RP)」のパリコト党首が、議場の壁にかけられた木製の十字架を取り外すよう要求したことで、カトリック王国のポーランドに衝撃が走った。RP以外の政党は与野党ともに反対で一致したが、パリコト党首は憲法裁判所、欧州人権裁判所への提訴も辞さない姿勢だ。「十字架は信仰のしるしであり、宗教が政争に悪用されないためにも必要な措置」と理由を説明している。

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トゥスク首相率いる与党の市民プラットフォーム(CP)は、「十字架は信仰だけでなく、国民のシンボルでもある」と反論。首相自身は、「『フレンドリーな国家』を目標に掲げたパリコト運動が初の審議で十字架を議論の種にするなどとは」と猛烈に批判した。

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野党第1党で保守派の「法と正義(PiS)」のカチンスキー党首も「気が狂った連中が望んだからといって、十字架を外すわけにはいかない」とおかんむりだ。

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国民はどうかというと、過半数が「議場にかけたままでいい」と考えている。日刊紙『ガゼタ・ヴィボルチャ』の調べでは、71%が「今のままでいい」と答え、パリコト案を支持したのは21%にとどまった。ただし、教会の勢力が強いこの国で5人に1人が賛成するというのはなかなかの数字ではないだろうか。

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RPは政教分離を主張し、人口中絶やマリワナの合法化、同性愛者の同権などを要求している。ミレル元首相はRPの議会入りで揺れる政界の状況を総括して「パリコト議員はカラフルな鳥で、他のいろんな変わった(面白い)鳥を引き連れて議会にやってきた」と評している。これらの「変わった鳥」には、性転換者のアンナ・ゴロツカさんや、ゲイだと公言しているロベルト・ビエドロンさん、神父を辞めて反教会主義者となったロマン・コトリンスキさんなどが含まれている。

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