2011/11/9

総合・マクロ

中東欧の防衛支出、20年までに179億ユーロに拡大

この記事の要約

米市場調査会社のフロスト&サリバンはこのほど、中東欧の防衛産業の見通しに関するレポートを発表した。これによると、このところの景気減速に伴い各国とも歳出を削減している影響で防衛費も抑制される傾向にあるものの、ポーランドの調 […]

米市場調査会社のフロスト&サリバンはこのほど、中東欧の防衛産業の見通しに関するレポートを発表した。これによると、このところの景気減速に伴い各国とも歳出を削減している影響で防衛費も抑制される傾向にあるものの、ポーランドの調達プログラムやウクライナの海軍力増強計画などがけん引し、中東欧の防衛支出は2011年の175億米ドルから2020年には179億ドルに拡大する見通しだ。

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中東欧ではヴィシェグラード・グループ(ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア)を中心に、共産主義時代から使用されている旧ソ連製兵器の近代化・更新が進んできた。しかし景気低迷と財政緊縮策の影響により、そのペースはスローダウンしており、耐用年数が近付いている兵器が多くあるにもかかわらず、更新のための調達計画の目途が立てられない状態にある。そうした中、ポーランドは今後も防衛費の順調に伸びると見られている。同国では前年度の国内総生産(GDP)額の1.95%を防衛費に充てることが法律で定められており、防衛産業の民営化も進んでいる。同国が中東欧の防衛支出に占める割合は11年の52.1%から20年には55.4%に上昇すると予想される。防衛省が2009年に策定した調達計画によると、18年までに110億ドルが汎用ヘリコプターと防空システムなどに投じられる。このほか、防衛関連のサポートサービス市場も成長が期待されており、20年までに40億9,000万ドルの支出が見込まれる。

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フロスト&サリバンは、防衛産業が有望な国としてポーランドのほかにウクライナを挙げる。同国は、旧ソ連時代から防衛産業の拠点として重要な役割を果たしてきた。21年までに20億ドルを投じてコルベット艦を導入する計画だが、ウクライナは造船技術に乏しいため、コルベット艦の部品の8割を国外から調達する必要があると見られ、外国企業にとって大きなチャンスとなると分析している。

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