2011/11/9

チェコ・スロバキア

チェコ、輸出頼みの景気回復に黄信号

この記事の要約

チェコ経済は、2008年から09年にかけての世界金融危機で打撃を受けたが、10年に入ってから最大の貿易相手国であるドイツへの輸出がけん引し、順調な回復を遂げてきた。昨年の対独輸出額は300億コルナ(12億ユーロ)に達して […]

チェコ経済は、2008年から09年にかけての世界金融危機で打撃を受けたが、10年に入ってから最大の貿易相手国であるドイツへの輸出がけん引し、順調な回復を遂げてきた。昨年の対独輸出額は300億コルナ(12億ユーロ)に達している。

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一方、ドイツ側から見ると、貿易相手国としてのチェコの存在感は低下しつつある。ドイツ統計局のまとめによると、チェコが輸入額全体に占める割合は今年1-7月期の3.7%にとどまった。チェコのニュースサイト『Aktualne.cz』は、ドイツの輸入業者の関心は、米国、フランス、スペイン、日本、チェコといった伝統的な貿易相手国から、BRICSやトルコ、ポーランドなどに移りつつあると指摘する。チェコでは内需の回復が遅れており、経済浮沈のカギは輸出が握っている。こうした状況で、ドイツへの輸出が伸び悩むことは、チェコ経済にとって深刻な影響を与えかねない。

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ドイツの欧州経済センター(ZEW)が先月発表した10月の景気期待指数はマイナス48.3と、前月のマイナス43.3から低下し、08年11月以来の低水準となった。景気が悪化するとドイツ企業は労働コストの低い東欧などに生産拠点を移す傾向が加速するが、チェコの人件費が上昇しているため、チェコからさらに東へ拠点を移す企業が増加するのではないかと懸念されている。しかし、ドイツのコンサルティング会社ROIインターナショナルのBenacka氏は、「チェコから拠点を移すには追加のコストがかかるため、チェコに進出しているドイツ企業が流出することは今後5年間は考えにくい」と分析する。

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