2011/11/9

ロシア

ロシア電力大手、ドイツに原発由来電力の供給を提案

この記事の要約

ロシアの電力大手Inter RAOが、原子力発電所で生産した電力をドイツに供給することを提案している。同社のBoris Kovalchuk最高経営責任者(CEO)が独経済紙『ハンデルスブラット』に明らかにした。ポーランド […]

ロシアの電力大手Inter RAOが、原子力発電所で生産した電力をドイツに供給することを提案している。同社のBoris Kovalchuk最高経営責任者(CEO)が独経済紙『ハンデルスブラット』に明らかにした。ポーランドとリトアニアに挟まれたロシアの飛地領カリンニーグラード州に新設される原発の電力を2016年からドイツに供給できるという。

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ドイツでは福島原発事故を受け、3月半ばに老朽原発8基が運転を停止した。さらに、政府が6月に取りまとめた新たなエネルギー政策で2022年末までに国内原発を全廃することが決まったため、国内産業界からは脱原発による電力不足を懸念する声が上がっている。

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Inter RAOの今回の提案は、こうした状況を受けたもの。同CEOは、「カリンニーグラード州からドイツ国境までの450キロメートルの輸送コストを考慮しても、ドイツの電力料金はロシアよりはるかに高いため、採算は取れる」と自信を示した。

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反原発のドイツ世論は原発由来の電力の輸入にも反対だ。ただ、これについても、同CEOは「ドイツがチェコやフランスから輸入している電力の大半は原発由来だ」として、大きな障害にはならないとの見方を示した。

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カリーニングラード州の原発を建設、運営するのは、Inter RAOの親会社であるロシア原子力公社(ロスアトム)。設置するロシア型加圧水炉(WWER)2基の総発電能力は2,300メガワットで、1号機は2016年、2号機は18年に稼働を開始する予定だ。

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