2011/12/7

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

スロベニアとクロアチアの議会選、与党が敗北

この記事の要約

旧ユーゴスラビアのスロベニアとクロアチアで4日に実施された下院選挙では、両国とも与党が敗北する結果となった。スロベニアでは大半の予想を裏切り、10月初めに発足したばかりの中道左派の「積極的なスロベニア(PS)」が90議席 […]

旧ユーゴスラビアのスロベニアとクロアチアで4日に実施された下院選挙では、両国とも与党が敗北する結果となった。スロベニアでは大半の予想を裏切り、10月初めに発足したばかりの中道左派の「積極的なスロベニア(PS)」が90議席中28議席を獲得し、第1党に躍り出た。PSを率いる首都リュブリャナのヤンコビッチ市長は実業家出身で、経済手腕を買われた格好。欧州危機を背景に、ギリシャやイタリアで与党が敗れ、経済や金融の専門家を中心とした政権が発足したとの同じ流れだ。

\

スロベニア選挙管理委員会の集計によると、第1党になると予想されていた中道右派の最大与党「スロベニア民主党(SDS)」は26議席で2位。年金改革でつまずいた中道左派の与党「社会民主党(SD)」は予想通り議席を29議席から10議席に大幅に減らし、パホル首相は退陣を表明した。

\

中道左派のPSとSD、年金民主党(DeSUS)を合わせた議席数は44で過半数に満たないが、10月に発足したリベラル党「Gregor Virant’s Civic List」やキリスト教民主主義系の「スロベニア人民党(SLS)」もPSに与する可能性を示唆しているため、PSとSDが中心となる連立政権が成立する可能性が高い。

\

新政権で首相に就任する見通しのヤンコビッチ市長は2006年に市長に就任して以来、公共交通の整備や廃棄物処理事業の再編成、サッカー場の新設など、それ以前に停滞していた事業を矢継ぎ早に実現。市長になる以前の実業家時代には、買収した小売チェーンのメルカトルを旧ユーゴで最大の小売業者にした実績もある。同市長は今回の選挙中、国民の嫌う年金改革や付加価値税引き上げを実行すると表明したが、これまでの経験や経済手腕を買われ、票を集めた。「希望」「より良く」「雇用」という簡素な3つのスローガンにも効果があったもようだ。

\

\

■クロアチア、中道左派連合が過半数獲得

\

\

クロアチアではコソル首相率いる中道右派の与党「クロアチア民主同盟(HDZ)」が大敗し、4野党の中道左派連合「ククリク」が得票率52.7%で151議席中80議席の過半数を獲得した。汚職や失業率の悪化を受け、HDZの得票率は18.4%、議席数は44に激減。同盟する少数党の議席を加えても47議席にとどまる見通しだ。

\

クロアチアの経済は他の南東欧よりさらに悪く、失業率は17%に上る。汚職スキャンダルに振り回される政権下で改革も進んでおらず、財政赤字も膨らんでいる。「ククリク」の代表で、次期首相に就任する社会民主党(SDP)のゾラン・ミラノヴィチ党首は、現政権の負の遺産を引き継ぐことについて、「新政権に対する国民の期待は大きい」、「(新政権の)責任は非常に重い」と述べ、今後の政権運営の難しさを示唆した。

\

なお、欧州連合(EU)の欧州議会は1日の本会議で、クロアチアのEU加盟を賛成多数で承認した。これを受けてEUとクロアチアは8~9日に開く首脳会議で、加盟条約に調印する。その後、全加盟国とクロアチアによる批准を経て、同国は2013年7月1日に28番目のEU加盟国となる見通しだ。

\