2011/12/14

ロシア

製薬市場の先行きに懸念・欧州債務危機の深刻化で

この記事の要約

ロシアの製薬市場の先行きに不透明感が高まっている。現地英字紙『モスクワ・タイムズ』は6日、英製薬大手アストラゼネカのロシア現地法人のパブレティチ社長の話として、欧州債務危機深刻化すれば、来年の国内製薬市場は成長率が鈍化す […]

ロシアの製薬市場の先行きに不透明感が高まっている。現地英字紙『モスクワ・タイムズ』は6日、英製薬大手アストラゼネカのロシア現地法人のパブレティチ社長の話として、欧州債務危機深刻化すれば、来年の国内製薬市場は成長率が鈍化するとの見通しを伝えた。

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パヴレチク社長は、欧州債務危機の影響で世界経済が景気後退に陥り原油価格が下落した場合、ロシアの医薬品販売は減少すると指摘する。ロシア経済は石油と天然ガスの輸出に依存しているため、これらの資源価格が下落すれば、公的薬剤給付制度で政府が買い上げる医薬品が減少し、景気悪化により消費者も医薬品を買い控えるためだ。こうした悲観シナリオでは来年の製薬市場の成長率は1けた前半の低い伸びにとどまるという。ただ、欧州の指導者たちが債務問題を解決する有効な手立てを見出すことができるという楽観シナリオにもとづけば、7~10%の伸びが期待できる。ロシアに進出する欧州の大手製薬会社の間では、債務危機による業績悪化懸念から、新興国市場での経営戦略を見直す動きも出始めているが、パブレティチ社長は、「アストラゼネカはロシアで長期的視野に基づいた経営戦略を持っている」として、戦略に変化はないとの認識を示した。

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アストラゼネカは2月、1億7,000万ドルを投じてロシア初の工場を建設する計画を明らかにした。カルーガ州ボルシノ工業団地内で建設に着手し、2013年から操業を開始する予定で、がんや循環器系、消化器系、呼吸器系などの疾病治療薬を製造する。また、サンクトペテルブルクに研究開発センターを設立することも計画している。

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