2012/1/4

ハンガリー

ハンガリー議会、中銀改革法案を可決

この記事の要約

ハンガリー議会は30日、与党の賛成多数で中央銀行改革法案を可決した。総裁の権限を縮小して副総裁の任命権を首相と大統領に委譲するほか、政策金利を決定する委員会メンバーを現在の7人から最大9人に拡大することなどを柱とする内容 […]

ハンガリー議会は30日、与党の賛成多数で中央銀行改革法案を可決した。総裁の権限を縮小して副総裁の任命権を首相と大統領に委譲するほか、政策金利を決定する委員会メンバーを現在の7人から最大9人に拡大することなどを柱とする内容。内外からの批判を押し切って成立させた格好だ。

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議会はまた、中央銀行と金融監督庁の統合を可能とする憲法改正案も可決。統合後の新機関の長官は首相が任命することとなっており、専門家はシモル中銀総裁の権限を縮小し、中央銀行および金融政策を政府の指揮下に置くオルバン政権の意図を指摘している。

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中銀改革法および23日成立した財政安定化法は、ハンガリーが求めている国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)からの新たな金融支援の障害になる可能性がある。EUのバローゾ欧州委員長はこれまでに、両法が欧州法に抵触している可能性があると指摘し、オルバン首相に撤回を求める書簡を送った。また、IMFも16日、中銀の独立性を脅かしかねないとして、金融支援に向けた事前協議を中断した。

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ハンガリーはリーマンショックに端を発した金融危機で大きな打撃を受け、2008年11月にEU、IMFなどから200億ユーロの緊急融資を取り付けたが、その後に発足したオルバン政権はIMFが主導する財政再建を嫌い、2010年にIMFとの融資契約を打ち切った経緯がある。しかし、欧州債務危機の影響で中東欧諸国の金融市場で先行き不安が広がり、巨額の累積債務を抱えるハンガリーからは資金流出が加速し、同国通貨フォリントも急落。こうした事態を受けて同国政府は11月、EUとIMFに金融支援を要請した。

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■国債発行規模を縮小

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国債発行を管理する政府公債管理機構(AKK)は29日、金利高騰を理由に3カ月物国債の発行を中止した。10年物国債も、金利が前回発行時の8.78%を上回る9.7%に上昇したため、発行規模を30億フォリント(9,770万ユーロ)縮小した。5年物国債は予定通り100億フォリントを発行したが、金利は9.63%と前回を0.91ポイントも上回った。(12月21日号「EU・IMFがハンガリー向け金融支援の協議中断、中銀改革法案を問題視」を参照)

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