2012/1/4

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

ブルガリア配電市場、採算性が悪化

この記事の要約

ドイツの電力大手エーオンが12月2日、ブルガリア子会社をチェコ同業のエネルゴ・プロに売却した背景には、ブルガリア事業特有の難しさがあったようだ。独『貿易新聞』が1月2日付で報じたところによると、欧州事業を縮小するエーオン […]

ドイツの電力大手エーオンが12月2日、ブルガリア子会社をチェコ同業のエネルゴ・プロに売却した背景には、ブルガリア事業特有の難しさがあったようだ。独『貿易新聞』が1月2日付で報じたところによると、欧州事業を縮小するエーオンの経営方針に加え、価格規制による利ザヤの縮小や、非協力的な当局の姿勢も撤退の理由という。

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エーオンは2006年、エネルギー部門の部分民営化に伴い、ブルガリア北東部の地域配電会社の株式67%を買収し、子会社エーオン・ブルガリアを設立した。同社は4万2,000キロの配電網を管理し、一般世帯や事業所を主要顧客に持つ。

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しかし、社会政策的観点から電力料金を低く抑えたい政府の意向に沿った電力市場規制当局の価格政策が原因で、採算性が悪化。国営電力会社NEKやコズロドゥイ原発、再生可能エネルギー業者からの買い入れ価格も上昇し、2010年は赤字に転落した。

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また、電力量計の操作による盗電も深刻な問題で、エーオンによれば売上規模の10%相当にまで被害が拡大している。操作の方法は巧妙で、専門家の手によるものと推測される。ただ、盗電が刑事訴追されることはほとんどない。自宅で電力量計操作が見つかった検察官を盗電事件の担当から外すことを求めたエーオンの訴えも退けられたという。

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2010年には規制当局が配電会社の価格計算を検査したが、その結果の一部をメディアに提供する一方で、配電会社には当初、結果の簡単な要約しか配布しなかった。このため、会社側は内容を把握できないまま、メディアから価格つり上げの集中砲火を受けることになった。配電会社には罰金が科せられたが、その根拠をめぐっては現在も裁判で争われている。

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同じような理由から、チェコ国営電力のCEZもブルガリア市場からの撤退を検討しているもようだ。

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