チェコ財務省が、年央に付加価値税(VAT)の税率を19%に統一する可能性を検討している。従来の予定を6カ月前倒しし、かつ税率を1.5ポイント上乗せするもので、これにより約250億コルナ(13億米ドル)の歳入増を見込む。『ムラダー・フロンタ・ドネス』紙が財務省資料を元に報じた。これに対しては、経済減速に追い討ちがかかるのと懸念する声があがっている。
\チェコは今年初めに書籍、医薬品などに適用される軽減税率を10%から14%に引き上げたばかり。来年初めには現行20%の基本税率と軽減税率を一本化し、17.5%とすることが決まっている。
\チェコでは主要輸出先の欧州の需要が債務危機の長期化で縮小しつつあり、景気の停滞が懸念されている。これに加えてVAT改定が前倒しで実施されれば、低減税率が適用されている業種で経営環境が厳しくなるのは必至だ。
\2008年の経済危機からまだ完全に回復していない建設業界は、VAT課税強化による家賃上昇で新規受注が低下する可能性が大きい。ホテル業も客室の供給が過剰なプラハを中心にVAT増税で利ざやが減り、倒産する業者が出る見通しだ。食品製造業界は今年、材料調達費の上昇が見込まれるため、VAT税率の引き上げを価格に転嫁せずに済む方策を探っている。
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