独電力大手のE.ONはこのほど、2011年の最終損益が22億ユーロの赤字になったと発表した。創業以来、初めての赤字決算となった。EBITDAベース営業利益(利払い・税引き・減価償却前)は93億ユーロにとどまり、前年から30%落ち込んだ。ドイツ政府の脱原発への政策転換による原発(2ヶ所)停止や、東・南欧事業の減価償却費の負担増加、ガス販売の採算性悪化などが収益を大きく圧迫した。
\原発停止に伴うコスト増加と昨年から導入された核燃料税の負担は25億ユーロに上った。ガス販売事業では、天然ガス国際相場の下落により長期契約した調達価格が割高となり7億ユーロの損失が出た。スペインやイタリアなど国外事業の減価償却費負担も20億ユーロに膨らんだ。一方、再生可能エネルギーとロシア事業の発電能力が拡大したため、収益の大幅落ち込みは最小限にくいとめられた。
\ヨハネス・テイセン社長は、急速な業績回復が見込めないとし、今期のEBITDAは前年を若干回る96~102億ユーロにとどまるとの見通しを示した。
\今後はグループ全体で1万1,000人のリストラを実施するなどして、2年後には純利益で32~37億ユーロを確保したいとしている。
\なお、同社のロシアにおける発電能力は10,345MWに達している。また、太陽光・風力発電(80億kWh)や水力発電(4.8GW)などの再生可能エネルギー事業も拡大する傾向にある。
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