2012/7/4

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

セルビア、社会党党首が新首相に

この記事の要約

セルビアのニコリッチ大統領は28日、セルビア社会党(SPS)党首のダチッチ氏に組閣を命じた。新政府は社会党と、ニコリッチ大統領に近い進歩党(SNS)、セルビア統一地域党(United Region of Serbia: […]

セルビアのニコリッチ大統領は28日、セルビア社会党(SPS)党首のダチッチ氏に組閣を命じた。新政府は社会党と、ニコリッチ大統領に近い進歩党(SNS)、セルビア統一地域党(United Region of Serbia: URS)で構成される見通し。タディッチ前大統領が率いる民主党(DS)は12年ぶりに下野する。ダチッチ氏は今週末までに組閣交渉が完了するとみている。

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新政権の組閣は西欧で注目を集めている。政権交代でセルビアが今後、どのような政治路線を歩むのかが不透明なためだ。

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ダチッチ次期首相は1990年代にミロセビッチ大統領(当時)の下で社会党の広報を担当した経歴を持つ。社会党は後に民族主義から距離を置いたが、政敵の中にはいまだにダチッチ氏を「小スロボ(=スロボダン・ミロセビッチ)」とけなす声もある。

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進歩党は、大統領当選までニコリッチ氏が党首を務めた政党で、極右の急進党から分離して発足した。

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ダチッチ次期首相は28日の大統領会見後に「90年代の再来はない」と確認。セルビアの現在と将来を最優先に「親セルビア的」政治を推進すると話した。セルビアでは政党を大別して欧州連合(EU)加盟に積極的な民主党などの「新欧米派」と、それ以外に区分することが多い。次期首相は「親セルビア」と表現することで、EU加盟を含めて「セルビアの利益になる政策を実行する」と宣言した格好だ。

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社会党の属する選挙連合は5月6日の議会選挙で改選時のほぼ2倍の議席を獲得した。これを受けてダチッチ氏は首相就任を予告していた。当初は旧連立パートナーの民主党と連立交渉を行っていたが、首相の人選で意見が分かれた。これを受けて27日、進歩党との交渉開始を決めた。

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外交関係者の間では、ダチッチ次期首相が突飛なアイデアを発表しては修正する人物として知られている。このため、その発言の信頼性には疑問符がつく。次期首相は一時、コソボを分割してセルビアとアルバニアに統合することや、ロシア軍のセルビア駐屯の可能性を検討したことがある。

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