2013/2/6

総合・マクロ

ロシア・ウクライナ間の関係緊迫、天然ガス問題で

この記事の要約

天然ガス取引をめぐるロシアとウクライナの関係に再び緊張が走っている。ガスプロムが先週、ウクライナに対して契約違反を理由に70億米ドルの支払いを正式に要求したためだ。ウクライナ側は契約を正しく履行しており請求に応じる必要は […]

天然ガス取引をめぐるロシアとウクライナの関係に再び緊張が走っている。ガスプロムが先週、ウクライナに対して契約違反を理由に70億米ドルの支払いを正式に要求したためだ。ウクライナ側は契約を正しく履行しており請求に応じる必要はないとみている。しかし、今後、どう対応していくかの方針は定まっていない。

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ウクライナは2009年にロシアと長期契約を締結した。これにより、ウクライナは年間520億立方メートルのガスを購入することが義務付けられている。最大20%の減量が可能だが、新年度が始まる半年前までにロシアに通告し、かつガスプロムの合意を得ることが必要だ。

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ウクライナ側は、2012年の調達を減らす意向を期限までに伝えたと主張。契約違反の事実はないとの見方を示した。

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同時に、契約内容がガスプロムに一方的に有利となっていると指摘した。その根拠として、◇同様のケースでウィーン国際仲裁センター(VIAC)がチェコのRWEトランスガスに追徴金支払いを免じる判断が下った◇ガスプロムがポーランドPGNiG、独エーオン・ルールガスなどに対して価格引き下げに応じた――などの事実を挙げた。また、千立方メートル当たり450ドルと高いガス価格の引き下げをたびたび要請してきたが、ガスプロム側が応じなかったとも付け加えた。

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ウクライナは調停機関を介さず、交渉による解決を望んでいる。このため、まずはロシアの動向を見守るもようだ。

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ロシアがこの件を調停機関に持ちこむかどうかの予想は難しい。契約内容の不公平を指摘され、他の長期契約に問題が波及する可能性があるためだ。

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■市場変化への対応に遅れ

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ガスプロムはこれまで独占的な地位を利用して、長期にわたり既定の価格でガスを供給する契約形態を顧客に受け入れさせてきた。しかし、中東諸国による液化天然ガスの輸出拡大、米国を中心とする非在来型天然ガス生産の急増など競合の台頭で守勢に立たされている。

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調達の可能性が広がったことに加え、競争で市場価格が低下し、顧客側もガスプロムに対して契約の見直しを求めるようになった。しかし、ガスプロムの対応が遅れ、主要市場である欧州でのシェアを落とす結果になっている。

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ロシアへのエネルギー依存脱却を国策に掲げるウクライナも、先月にシェールガス開発でシェルと協定に署名。シェブロン、エクソン・モービルとも提携に向けた契約が近く成立する見通しだ。

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ウクライナのシェールガス埋蔵量は1兆2,000億立方メートルと推定されている。

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