2013/2/13

総合・マクロ

欧州新興国で風力エネの普及進む

この記事の要約

中東欧地域を中心とする欧州新興国で、風力エネルギーの普及が加速している。欧州風力エネルギー協会(EWEA)は5日発表した欧州新興国における風力発電の動向に関する報告書『Eastern Winds』の中で、欧州連合(EU) […]

中東欧地域を中心とする欧州新興国で、風力エネルギーの普及が加速している。欧州風力エネルギー協会(EWEA)は5日発表した欧州新興国における風力発電の動向に関する報告書『Eastern Winds』の中で、欧州連合(EU)の新加盟12カ国の風力発電の設備容量が、2012年の6.4ギガワット(GW)から20年には16GWに拡大するとの見通しを示した。

\

EUは最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を20年までに20%に高めることを目指している。加盟各国は、風力発電をこの目標達成のための重要な柱と位置づけ、普及に積極的に取り組んでおり、なかでも新加盟国の総設備容量は05年の208メガワット(MW)から11年には4,200MWに急拡大した。なお、新加盟国の設備容量の88%は、ポーランド、ハンガリー、チェコ、ブルガリア、ルーマニアの5カ国に集中している。

\

EWEAの報告書は、EU加盟国以外の欧州新興国における風力エネルギーの発展見通しについても言及しており、今年7月にEUに加盟するクロアチア、EUと環境政策を協調させているウクライナでは普及が期待できるとしている。また、トルコは世界で最も風力エネルギーの成長が期待される国であり、政府は設置容量を現在の2.3GWから23年までに20GWに拡大することを目標に掲げている。一方、ロシアは豊富な風力発電のポテンシャルを有するものの政府の関心が低く、普及は当面望めないとしている。

\

EWEAのKjaer理事は、「風力エネルギーはトルコを含む中東欧で、電力部門の化石燃料への依存を相当程度減らすことができる」と指摘する一方で、チェコ、ハンガリー、ブルガリアなど一部の国では再生可能エネルギーに関する法制度が不安定であり、政府が長期的な視野に立った再生可能エネルギー戦略を示せない場合には投資家や金融機関が資金を引き上げ、普及にブレーキがかかる恐れがあると警告している。

\