中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2013/12/11

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

ブルガリア、来年から再可エネ税を導入

この記事の要約

ブルガリアが来年から再生可能エネルギーに対する課税制度を導入する。電力料金の上昇を抑えるとともに、エネルギー関連の赤字を縮小する狙い。新税により1億6,000万レフの歳入増を見込む。\ 議会が5日可決した関連法案によると […]

ブルガリアが来年から再生可能エネルギーに対する課税制度を導入する。電力料金の上昇を抑えるとともに、エネルギー関連の赤字を縮小する狙い。新税により1億6,000万レフの歳入増を見込む。

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議会が5日可決した関連法案によると、国内の電力網に供給された再可エネの売上に対して20%を課税する。市場取引や輸出に対しては適用しない。

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事業者側は新税導入に強く反発している。投資資金は借入れで賄われていることが多く、200社が倒産に追い込まれるという主張だ。また、法的枠組みの不透明さが国外投資家の資本撤退や、新規投資への慎重姿勢を引き起こすと指摘している。

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これに対して経済・エネルギー省は、「技術が進歩しており、助成を従来の水準から引き下げても事業者は収益を確保できる」「ギリシャやチェコなど、他国でも見直しが行われている」と反論。また、ブルガリアの電力生産における再可エネ比率は15%と、欧州連合(EU)によって2020年までの達成を義務付けられた16%まであと1ポイントに迫っているとし、支援を縮小しても問題はないとの見解を示した。

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ブルガリアでは再可エネに対して、メガワット時当たり37.75レフの固定買取価格(フィードイン・タリフ)が適用されている。これが呼び水となり、ドイツ、オーストリア、米国、韓国などから40億ユーロ超が関連プロジェクトに投じられた。ブルガリアの風力・ソーラー発電容量は合計1,600メガワットに上っている。

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経済停滞にあえぐブルガリアでは国民の支出に占める電力料金の割合が大きい。電力料金の上昇がボリソフ前政権退陣の引き金となったこともあり、オレシャルスキ現政権も料金抑制を重視しているもようだ。

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一方、国民の抗議運動を受けた料金引き下げで国営電力企業NEKの台所事情が急速に悪化。今年1-9月の買掛債務は8億レフ、損失額は9,600万レフに上っている。新税導入は、同社を初めとする国営電力関連企業に絡んだ歳出を抑える意図もある。

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(1BGN=72.35JPY)

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