2014/3/5

総合・マクロ

欧州新興国、外銀の資金引き揚げ続く

この記事の要約

欧州新興国の金融安定性を維持するための枠組みである欧州銀行協調イニシアティブ(ウィーン・イニシアティブ)がこのほど発表した報告書によると、国際決済銀行(BIS)に報告を行っている金融機関が2013年第3四半期に欧州新興国 […]

欧州新興国の金融安定性を維持するための枠組みである欧州銀行協調イニシアティブ(ウィーン・イニシアティブ)がこのほど発表した報告書によると、国際決済銀行(BIS)に報告を行っている金融機関が2013年第3四半期に欧州新興国から引き揚げた資金の規模は国内総生産(GDP)の0.2%で、前期と同水準だった。欧州新興国をめぐっては、米国のテーパリング(金融緩和縮小)の影響で、資金の引き揚げペースが加速するのではないかとの懸念が指摘されていた。

資金の引き揚げ幅は国によってばらつきがあり、特に引き揚げ幅が大きかったのはスロベニア、ハンガリー、クロアチア、ラトビアの4カ国で、13年1~9月にGDPの4~5.5%に達した。報告書では、これらの国々は、成長、財政、.5対外的あるいは金融的脆弱性に対する懸念が大きいことが、銀行の判断に影響を与えていると分析している。中でもハンガリーについては、外貨建て住宅ローン利用者の返済負担軽減策が打撃となった可能性があると指摘している。

報告書は今後の見通しについて、先進国の中央銀行による非伝統的金融政策の巻き戻しは引き続き欧州新興国からの資金流出と市場のボラティリティを招き、これらの国々の資金調達環境は厳しい状況が続くと指摘。欧州銀行のバランスシートのデレバレッジングとリスク低減の動きはユーロ圏の資産査定 (AQR)およびストレステストに伴い加速し、特にファンダメンダルズが脆弱で成長見通しが弱い国々に対する資金供給が一段と引き締められる可能性があるとの見方を示す。こうした状況を踏まえ、欧州新興国は首尾一貫したマクロ経済および財政政策と、ファンダメンタルズおよび政策信頼性を改善する対策の実施が急務だと強調している。

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ
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