2014/3/12

バルト三国

ラトビアのガス市場、3年後に完全自由化へ

この記事の要約

ラトビア議会は5日、ガス市場自由化の道筋を規定するエネルギー関連法案を可決した。欧州連合(EU)の「エネルギー市場に関する第3次規制パッケージ」の実施に向けた法改正となる。来月から段階的に市場開放に向けた措置を実施し、2 […]

ラトビア議会は5日、ガス市場自由化の道筋を規定するエネルギー関連法案を可決した。欧州連合(EU)の「エネルギー市場に関する第3次規制パッケージ」の実施に向けた法改正となる。来月から段階的に市場開放に向けた措置を実施し、2017年4月に完全自由化を達成する予定だ。

同法では、自由化のテンポを上げる可能性にも触れている。その条件として、◇ラトビアの天然ガスパイプラインが、エストニア、リトアニア、フィンランドを除く欧州連合(EU)諸国のいずれかのパイプラインと直結◇独占的企業のラトビア市場シェアが75%未満に縮小――のいずれかが満たされた場合と規定する。ただし、ガス独占企業ラトヴィアス・ガーゼと経済省の見解では、その可能性はきわめて低い。

ラトビアでは現在も、ラトヴィアス・ガーゼがガスの調達から貯蔵、輸送、供給、販売までを一手に手がけている。

ラトビアのガス供給システムはリトアニアとエストニア以外のどのEU加盟国とも結ばれていない。また、ガス需要は100%、ロシアからの輸入に頼っている。

■電力市場自由化は延期

一方でラトビア政府は今年4月に予定していた一般世帯向け電力市場の自由化を延期した。最大40%の料金上昇が見込まれる中、その影響を弱めるメカニズムが必要との認識に基づく措置だ。自由化の新しい日程は未定だが、遅くともEUが定める期限である来年初めまでに実行に移されることとなる。

電力料金の大幅上昇が予測されていることで、自由化には年金生活者などが強く反対している。政府側は、ウクライナ危機を踏まえ、国内情勢の安定を優先させる立場を明確化。電力市場自由化が社会混乱の火種になりかねないとの見方を示した。

政府の決定に対し、一般世帯市場参入を狙うエストニア電力販売会社エネフィット(エースティ・エネルギア子会社)は、日程を変えたところで値上がりは防げないと批判。競争の欠如が根本的な原因と指摘した。