中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2014/3/26

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

ブルガリア、外資系配電会社の事業免許取り消しへ

この記事の要約

ブルガリアの電力・水道事業監督機関である国家水・エネルギー規制委員会(DKEVR)は19日、外資系の配電事業者3社に対する事業免許取り消しの手続きを開始したと発表した。国営電力会社NEKに対する支払いが遅れたことで「エネ […]

ブルガリアの電力・水道事業監督機関である国家水・エネルギー規制委員会(DKEVR)は19日、外資系の配電事業者3社に対する事業免許取り消しの手続きを開始したと発表した。国営電力会社NEKに対する支払いが遅れたことで「エネルギーの安定供給が脅かされている」というのが理由。3社は7日以内に総額3億1,800万レフ(2億2,600万ドル)をNEKに支払うと共に、14日以内に事情説明の文書を提出するよう求められており、DKEVRは4月7日の次回会議で今後の対応を協議する方針を示している。

DKEVRが事業免許の取り消しを検討しているのはオーストリアのEVN、チェコのCEZ、エネルゴプロ。3社は18日までに債務を弁済するよう求められていた。しかし、再生可能エネルギー業者への支払いのうち、政府が補てんを約束した分が未払いになっていることを理由にこれを拒否。DKEVRは3社の対応によってNEKは運転資金の確保が困難な状況に陥ったとし、免許取り消しに向けた手続きに着手したと説明している。

一方で3社は、「規定に従い、政府が定める固定価格に基づいて電気料金を全額、再生可能エネルギー会社へ支払ったが、国からこれに対する補償を受け取っていない。その分をNEKへの買掛債務と相殺し、NEKが運転資金不足に陥らない最低限度の額を支払ってきた」と説明している。

EVNは、NEKへの買掛債務から留保している金額は1億400万レフと発表。このほかに、NEKに対する債権は1億4,400万レフに上るとしている。

■外国投資減少への懸念も

ブルガリアでは昨年2月、電気料金の高騰に抗議するデモが政府に対する全国規模の抗議運動に発展し、ボリソフ政権が内閣総辞職に追い込まれた。これを受けて5月に誕生した中道左派の社会党政権は2度にわたり電気料金の値下げを実施。この影響でNEKの負債は昨年末の時点で20億レフに膨れ上がり、地元メディアによると配電3社からの支払いが滞ったことで、同社は債務不履行の状態に陥ったとみられている。

ブルガリア経済はようやく長期にわたる深刻な景気後退から脱却の兆しが見え始めたところだが、仮にCEZなど3社の事業免許が取り消される事態になれば外国資本の投資意欲が減退することは避けられない。政府は今回の問題が電気料金に影響することはないと明言しているが、電力会社はいずれも厳しい経営環境にさらされており、専門家からは電力供給システムを維持するには値上げが不可避との意見が出ている。(東欧経済ニュース2013年8月7日号「ブルガリア電力料金引き下げ、平均5%」を参照)