2014/6/4

総合・マクロ

欧州委、ブルガリアに違反調査手続き開始を予告

この記事の要約

欧州連合(EU)のバローゾ欧州委員長は5月27日、ブルガリアのオレシャルスキ首相に会見し、ガスプロムが主導する「サウス・ストリーム」天然ガスパイプラインの建設計画に関連して、ブルガリアに対する違反調査手続きを近く開始する […]

欧州連合(EU)のバローゾ欧州委員長は5月27日、ブルガリアのオレシャルスキ首相に会見し、ガスプロムが主導する「サウス・ストリーム」天然ガスパイプラインの建設計画に関連して、ブルガリアに対する違反調査手続きを近く開始することを明らかにした。同国とロシアが結んだ二国間協定が、EU域内エネルギー市場の自由化促進を目的とした欧州指令に違反している疑いが強いためだ。

最も大きな問題となっているのは、第3国がサウス・ストリームのブルガリア区間を使ってガスを輸送できない点だ。ブルガリアはすでに3月の時点で是正を求められたが、国内エネルギー法の改定で欧州法をすり抜けることを試み、本格的な解決には手を付けていない。

ウクライナ政変後、EUにとってサウス・ストリームの政治的意味も変化した。これまでは、ウクライナを迂回するパイプラインを建設するサウス・ストリーム計画に中立的な立場で、部分的にガスプロムと妥協する用意もあった。しかし、ウクライナ紛争で外交関係が緊迫する中、協力的姿勢はみえなくなっている。

欧州委は欧州エネルギー安全保障戦略に関する28日の声明でサウス・ストリーム計画を名指しし、欧州法を完全に守り、欧州エネルギー安全保障に反しないことが確認されるまで「凍結する」と姿勢を打ち出した。

他方で、サウス・ストリームはEU加盟国の利害が必ずしも一致していない事実をあらわにしている。以前ブルガリアの駐ロ大使のエネルギー政策顧問を務めていたヴァシレフ氏は、「プロジェクトで利益を得るイタリア、ドイツ、ブルガリア、ハンガリー、オーストリアは皆、ロシアへの経済制裁に慎重だ」と指摘している。

■ブルガリア区間の建設はロ社が落札

サウス・ストリームのブルガリア区間の建設入札結果が27日公表され、ロシアのストロイトランスガスとブルガリア5社から成る企業連合の落札が明らかとなった。受注総額は350億ユーロ。

この入札手続についても、昨年12月22日のクリスマス祭日直前に公示されたばかりでなく、応募締め切りが1月10日と早かったことなどから、ロシアとブルガリアの企業へ発注するための細工ではなかったかとの疑惑がもたれている。

落札した企業連合を率いるストロイトランスガスへは、投資会社ボルガ・グループが67%を出資している。ボルガのオーナーであるティモチェンコ氏はプーチン大統領と親しいことで知られており、米国の制裁リストに入っている。(東欧経済ニュース2013年12月11日号「露主導のガスパイプライン計画、通過国との二国間協定を欧州委員が問題視」を参照)