2014/7/2

総合・マクロ

EUがウクライナなど3カ国と連合協定締結、ロシアは対抗措置を示唆

この記事の要約

EU(欧州連合)は6月27日の首脳会議で、ウクライナ、グルジア、モルドバと政治・経済面の連携を強化する「連合協定」に署名した。EUは自由貿易協定(FTA)などを通じて旧ソ連3カ国の経済発展を促す。国内に親ロシア派を抱える […]

EU(欧州連合)は6月27日の首脳会議で、ウクライナ、グルジア、モルドバと政治・経済面の連携を強化する「連合協定」に署名した。EUは自由貿易協定(FTA)などを通じて旧ソ連3カ国の経済発展を促す。国内に親ロシア派を抱える3カ国が親EU路線を明確にしたことで、プーチン政権が反発を強める可能性もある。

EUとウクライナは当初、昨年11月に連合協定に調印する予定だった。しかし、ヤヌコビッチ前大統領は会議直前になって調印を見送り、低迷する経済の立て直しを図るためロシアとの関係改善を最優先する方針を打ち出した。ウクライナではこれをきっかけにEUとの関係強化を求める国民による反政府デモが急速に拡大し、ヤヌコビッチ政権の崩壊とロシアによるクリミア併合につながった経緯がある。

ウクライナの暫定政権は3月、EUとの連合協定のうち政治条項に署名し、FTAを含む残りの条項については5月末の大統領選挙後に署名することで合意していた。一方、グルジアとモルドバは昨年11月、EUとの連合協定に仮調印し、正式署名に向けた準備作業を進めていた。

3カ国は経済面でEU市場とより密接に結び付くことで、ロシアへの依存度を減らすことができる。ウクライナのポロシェンコ大統領は「欧州に近づくという夢の実現のためにウクライナは最大級の代償を払った。今日はソ連からの独立以来、最も重要な日だ」と強調。EUのファンロンパイ大統領も「これまで以上に3カ国を支援していく」と応じた。

一方、ロシアはEUと3カ国の急接近に警戒感を募らせている。インタファクス通信によると、カラシン外務次官は今回の動きに対し、EUと協定に締結するのはそれぞれの国の権利だとしたうえで、署名は「深刻な結果」をもたらすだろうと発言。3カ国に対して関税の引き上げなどの対抗措置を講じる可能性を示唆した。