2014/7/23

総合・マクロ

EUが対ロシア制裁を強化、政策金融の新規融資停止へ

この記事の要約

EUは16日に開いた特別首脳会議で、ウクライナ問題をめぐる対ロシア制裁を強化することを決めた。緊張緩和に向けたロシアの取り組みが不十分と判断した。個人や企業への制裁を拡大するほか、政策金融機関に対してロシアへの新規融資を […]

EUは16日に開いた特別首脳会議で、ウクライナ問題をめぐる対ロシア制裁を強化することを決めた。緊張緩和に向けたロシアの取り組みが不十分と判断した。個人や企業への制裁を拡大するほか、政策金融機関に対してロシアへの新規融資を停止するよう求める。ただ、ウクライナの親露派支配地域ドネツクの上空でマレーシア航空機が撃墜された事件を受けて、さらなる制裁強化を求める動きが出ており、加盟国は22日の外相理事会で同問題を協議する。

EUはこれまでにロシア政府高官など72人と2企業を資産凍結などの対象としてきたが、今回の首脳会議では、制裁対象を「ウクライナの主権を脅かすような行為を物質的、資金的に支援する主体」に拡大することで一致。今月中に対象となる企業・個人のリストを作成する。また、EUの政策金融機関である欧州投資銀行(EIB)にはロシアへの新規融資を停止するよう要請。欧州復興開発銀行(EBRD)に対しても同様の措置をとるよう求めていくことでも合意した。AFP通信によると、EIBは2003年以降、ロシアに16億ユーロの融資を実施している。また、EBRDは冷戦終結以来、ロシアで790件のプロジェクトを支援し、240億ユーロを供与している。

マレーシア航空機の撃墜をめぐっては、原因は現時点で特定されていないが、ウクライナの親ロシア派武装勢力が地対空ミサイルで撃ち落としたとの見方が強まっている。乗客の半数以上がEU加盟国であるオランダ人であるほか、英、ドイツ、ベルギー人も含まれていることから、EUでは中東欧諸国のポーランド中心に制裁の早期発動、制裁対象リストの拡大を求める動きが強まってきた。英、独、仏の首脳は20日、ロシアが親露派勢力に圧力をかけ、撃墜事件の調査に全面的に協力するよう仕向けなければ制裁強化を辞さないことで合意した。とくに英キャメロン首相が強硬的な姿勢だ。ただ、EU内では経済のロシアへの依存度に応じて同国への態度に依然として温度差がある。22日の外相理事会では、ウクライナ危機に対するロシアへの対応で、これまで及び腰だった議長国イタリアの対応が大きなカギとなりそうだ。

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