2014/7/30

総合・マクロ

ブルガリア首相が辞任、金融スキャンダル引き金に

この記事の要約

ブルガリアのオレシャルスキ首相が23日、辞意を表明した。先の欧州議会選での連立与党の敗北で求心力を失っていた政権への批判が、金融スキャンダルで一段と強まり、政権維持が困難と判断したため。ブルガリア議会は24日に首相の辞任 […]

ブルガリアのオレシャルスキ首相が23日、辞意を表明した。先の欧州議会選での連立与党の敗北で求心力を失っていた政権への批判が、金融スキャンダルで一段と強まり、政権維持が困難と判断したため。ブルガリア議会は24日に首相の辞任を承認した。これを受けて暫定政権が樹立され、10月5日に予定される総選挙に突入する見込みだ。

オレシャルスキ政権は2013年5月、電気料金の高騰を機に大規模な反政府デモが発生し、総辞職に追い込まれた右派「ブルガリアの欧州における発展のための市民(GERB)」の政権の後を継いで発足した。しかし、景気停滞、雇用悪化、汚職まん延といった問題に有効な対策を打てず、5月の欧州議会選では連立与党の社会党、「権利と自由のための運動(MRF)」が野党のGERBに敗北。ロシア産天然ガスを黒海経由で欧州諸国に運ぶパイプライン「サウスストリーム」の敷設プロジェクトについて、ウクライナ危機をめぐるロシアへの対応として凍結を求めるEUと、実施を求めるロシアの狭間で煮え切らない態度をとっている首相に、凍結派のMRFが愛想をつかして連立政権から離脱して政権基盤が弱まり、厳しい立場に立たされていた。

これに追い打ちをかけたのが、4位銀行コーポレート・コマーシャル・バンク(KTB)の不正疑惑が報じられたことをきっかけに起きた同行と3位銀行のファースト・インベストメント・バンク(FIバンク)の取り付け騒ぎ。政府がKTBを管理下に置き、金融不安払しょくのためEUから33億レフの緊急融資を取り付ける事態に発展した。これで政権への不信が強まり、KTBを清算、国有化し、預金者を保護しながら新たな銀行として再生させる計画も議会で承認を得ることができず、宙に浮いている。

与野党は6月末、政局の安定化に向け、解散総選挙を10月5日に前倒しで実施することで合意済みで、8月中に暫定内閣が発足する予定となっているが、オレシャルスキ首相はそれを待たずに辞任に追い込まれた。