2014/8/20

総合・マクロ

エジプト、第2スエズ運河を建設

この記事の要約

エジプト政府は5日、第2のスエズ運河を建設する計画を発表した。雇用創出、通航料収入の拡大による経済底上げが狙いで、40億ドルを投じて既存の運河と並行する全長72キロメートルの運河を建設する。 シーシ大統領によると、第2ス […]

エジプト政府は5日、第2のスエズ運河を建設する計画を発表した。雇用創出、通航料収入の拡大による経済底上げが狙いで、40億ドルを投じて既存の運河と並行する全長72キロメートルの運河を建設する。

シーシ大統領によると、第2スエズ運河は陸軍が中心となり、国内の建設17社が参加して建設される。資金は国内外の投資家から調達する方針だ。

スエズ運河庁のマミシュ長官によると、新運河の開通によって、スエズ運河を同時に航行できる船舶の数は現在の23隻から97隻に拡大。通過の待ち時間も最長11時間から3時間に短縮される。シーシ大統領は2015年の完成を目指すとしているが、マミシュ長官は5年の工期を要するとの見解を示している。

地中海と紅海を結ぶスエズ運河は全長193キロメートル。1869年に完成し、ナセル大統領時代の1956年に国有化された。同運河は欧州とアジアを結ぶ海運の要衝で、通航料収入が貴重な外貨獲得源となっている。

エジプト経済は「アラブの春」と呼ばれる政変に伴う国内の混乱を受けて、海外からの観光客が激減するなどして停滞している。第2スエズ運河の建設には、大規模な公共事業による雇用創出と、通航する船舶数を増やすことで通航料収入を拡大し、経済をてこ入れする狙いがある。