2014/9/3

ロシア

ロシア・中国天然ガスパイプラインが着工、19年稼動へ

この記事の要約

ロシア東部のサハ共和国ヤクーツク市郊外で、同国と中国を結ぶ初のガスパイプライン「シベリアの力(旧称:東ルート)」が1日着工した。東シベリア産のガスを中国に輸出する目的で、2019年に稼動する予定だ。全長は4,000キロメ […]

ロシア東部のサハ共和国ヤクーツク市郊外で、同国と中国を結ぶ初のガスパイプライン「シベリアの力(旧称:東ルート)」が1日着工した。東シベリア産のガスを中国に輸出する目的で、2019年に稼動する予定だ。全長は4,000キロメートル。両国がそれぞれの領土内のパイプライン建設を担当する。

「シベリアの力」の年間輸送能力は610億立方メートル。ガスプロムが開発する東シベリアのチャヤンダ、コヴィクタ両ガス田で生産する天然ガスを輸送する。中国向けのほか、ロシア極東地域へのガス供給も担う。中国への年間輸送量は当初50億立方メートルで、最大380億立方メートルに引き上げる。ガスプロムは、チャヤンダ・ガス田の開発と「シベリアの力」の建設に550億ドルを投じる。

ロシア政府は今年5月、10年越しの交渉に終止符を打ち、中国と総額4,000億ドル超のガス供給契約に調印した。ウクライナ情勢をめぐって欧米諸国との関係が悪化する中、世界一のガス需要国と言われる中国と取引関係を築くことで、欧米諸国をけん制する狙いがあったとみられる。

ロシア政府はエネルギー戦略の柱の一つとして、ガスプロムの欧州市場への依存を弱めることを目標としており、新たな販路として中国は大きな比重を占める。

アレクセイ・ミレル社長は着工に際し、11月にも中国と追加的供給で合意する可能性があると述べた。その場合、「シベリアの力」よりも西を通る第2のパイプライン(「西ルート」)を通じて輸出することになる。このパイプラインは、ロシア西部と東部のパイプライン網を接続する役割を果たす。開通すれば、ロシアは需要に応じて国内産のガスを東西のどの方角にも輸送することができるようになる。(5月28日号「ロシア、天然ガス供給で中国と合意」を参照)