大幅な債務超過に陥っているロシアの石炭・鉄鋼大手メチェルが倒産する公算が高まっている。政府や債権銀行が支援しない方針をほぼ固めたためだ。ロイター通信が20日付で報じた。
アレクセイ・ウリュカエフ経済相は19日メチェルについて、「(倒産以外に)理にかなった解決法はない。支払い能力がないのであれば、倒産を法的に認定すべきだ」と話した。
政府は救済策の一つとして、ロシア国鉄(RZD)によるメチェルの鉄道路線買収を検討したが、資金不足で断念したという。
また、メチェル自身は今後2~3年で主要資産を20億~30億ドルで売却する再建案を策定。同時に、主な債権者であるVTB、ズベルバンク、ガスプロムバンクに債務再編を要請している。
しかし、VTBのコスティン頭取は18日、「長期的にみれば債務再編の意味はない」とし、債権回収に向けて法的措置をとる方針を明らかにした。
メチェルは石炭、鉄鉱石、ニッケル、クロムを採鉱し、鉄鋼・ステンレス鋼を生産する。従業員7万人を擁し、ロシアのほか、リトアニアや米国にも生産拠点を持つ。
2008年の金融危機前に積極買収による拡大路線をとっていたことがあだとなり債務が急増した。昨年は7億2,000万米ドルの利益をあげたが、債務は86億ドルに膨らんでいる。