2014/10/1

ハンガリー

ハンガリー、外貨建てローンの借り手救済法案が可決

この記事の要約

ハンガリー議会は24日、個人向けローンの金利を大幅に引き上げた国内銀行に対して、顧客への補償を義務付ける法案を賛成多数で可決した。スイスフランを中心とする外貨建ての住宅ローンが主な対象で、補償は総額約32億ユーロ相当に上 […]

ハンガリー議会は24日、個人向けローンの金利を大幅に引き上げた国内銀行に対して、顧客への補償を義務付ける法案を賛成多数で可決した。スイスフランを中心とする外貨建ての住宅ローンが主な対象で、補償は総額約32億ユーロ相当に上る見通し。これによって銀行は多額の外貨が必要となるため、同国の中央銀行であるハンガリー国立銀行(NMB)は外貨準備を切り崩して銀行の資金繰りを支援する。

ハンガリーでは外貨建てローンが普及しており、銀行はリーマンショックに端を発した金融危機に見舞われる2008~09年まで自国通貨フォリントと比べて低利でローンを提供していた。しかし、その後に金利を急激に引き上げたため、多くの人が返済不能に陥り、大きな社会問題となっている。このため、オルバン政権は銀行が不当に金利を引き上げたとして、借り手を救済する法案を策定していた。

可決された法案では、不当な引き上げによって増えた借り手の負担額を融資残高から差し引く形で補償を行う。詳細はNMBが固めるが、政府の試算では返済額は25~30%軽減される見込みだ。さらに、同法案には銀行が2016年4月末まで既存のローンの金利、手数料を引き上げることを禁止することや、外貨建て個人ローンを2015年にフォリント建て化することも盛り込まれた。

NMBの外貨準備を使った銀行支援は、資金繰りを支えると同時に、スイスフラン、ユーロなど外貨の調達を迫られた銀行のフォリント売りによって、フォリント安が急激に進むのを防ぐ狙いがある。24日の発表によると、第1弾として10月13日から30億ユーロを供給する。また、ローンのフォリント建て化に伴う資金需要を支えるため、追加で90~110億ユーロを供給する方針だ。