2014/10/15

総合・マクロ

IMF、中東欧経済成長予測を下方修正

この記事の要約

国際通貨基金(IMF)は10日発表した最新の世界経済見通しで、中東欧・トルコの今年の予想成長率を1.2%とし、前回(4月)の1.9%から0.7ポイント下方修正した。来年はウクライナ情勢の緊張がやや緩み、1.7%まで回復す […]

国際通貨基金(IMF)は10日発表した最新の世界経済見通しで、中東欧・トルコの今年の予想成長率を1.2%とし、前回(4月)の1.9%から0.7ポイント下方修正した。来年はウクライナ情勢の緊張がやや緩み、1.7%まで回復するとみている。

地域別にみると、トルコが今年、来年とも3%で最も高い。ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、スロベニアの中欧5カ国が今年、来年とも2.9%でこれに続く。バルト3国も今年2.5%、来年3.1%と堅調だ。ルーマニア、ブルガリア、クロアチアの南東欧欧州連合(EU)加盟国は今年1.7%、来年2.1%、南東欧の非EU加盟国は今年1%、来年2.4%の予測となっている。

一方、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、モルドバの独立国家共同体(CIS)諸国では今年マイナス0.3%、来年0.6%で、ウクライナ紛争の影響が顕著だ。

今後のリスク要因としては、(1)ウクライナとロシアの緊張関係(2)ユーロ圏の景気減速の長期化(3)融資条件の厳格化や国際金融市場の混乱(4)中東地域の紛争先鋭化による原油減産――を挙げている。(1)ではロシア産天然ガスへの依存が大きい国があることを指摘し、(4)の問題とも関連して、EU諸国が資源備蓄能力の強化で力を合わせることを勧告する。

今後の課題としては、短期的には景気回復、中期的には持続的な経済成長の地盤構築を挙げる。そして、堅固かつ均衡の取れた成長のカギが、企業への融資と投資の回復にあるとする。

また、南東欧諸国を中心に、規制緩和や市場自由化、労働市場改革といった「宿題」が残っている国が多く存在することを指摘している。