2014/10/22

ロシア

ガスプロム減益、ウクライナ情勢が響く

この記事の要約

ウクライナ情勢がガスプロムの収益に影を落としている。14日発表の2014年6月中間期決算(国際会計基準)によると、純利益は前年同期比22.7%減の4,510億ルーブル(111億米ドル)に縮小した。ウクライナの料金滞納で多 […]

ウクライナ情勢がガスプロムの収益に影を落としている。14日発表の2014年6月中間期決算(国際会計基準)によると、純利益は前年同期比22.7%減の4,510億ルーブル(111億米ドル)に縮小した。ウクライナの料金滞納で多額の引当金を積んだことが足を引っ張った。

ガスプロムはウクライナ政変を受けて、4月に同国向け天然ガス価格を1,000立方メートル当たり260ドルから485ドルに引き上げた。ウクライナが値上げに反発して料金を支払わなかったため、6月15日に供給をストップした。

売上高は2兆8,739億ルーブル(705億ドル)と11.9%増加した。皮肉にも、ウクライナ売上高の伸びが全体をけん引した格好だ。

一方で、ウクライナの未払いで2,158億ルーブルの引当金を繰り入れる必要性が生じたため、営業利益は25%減の6,397億ルーブル(157億ドル)に落ち込んだ。

ウクライナ関連では売掛金が回収できれば引当金戻し入れで利益が大きく改善するが、大口顧客である同国への供給が減った影響は残る。ガスプロムは1月末時点で今年の対ウクライナ供給量を最大400億立法メートルと予測していた。6月の供給停止までの累計は140億立法メートルにとどまっている。

一方、欧米諸国の対ロシア制裁についてガスプロムはこれまでのところ「影響なし」と報告している。9月以降、欧米銀行から30日を超える融資を受けられなくなったが、ドイツ子会社を通じて期限2016年、5億ユーロの融資を受けることに成功した。融資元はコメルツ銀行を幹事とする銀行団で、金利は欧州銀行間取引金利(Euribor)プラス0.9ポイント。

また、中国工商銀行(ICBC)と組み、中国元建てで社債を発行することも計画している。

(1RUB=2.60JPY)