2014/11/5

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

チェコCEZ、ブルガリア火力発電所の操業停止へ

この記事の要約

チェコ国営電力のCEZは2日、来年からブルガリアのヴァルナ石炭火力発電所の操業を停止すると発表した。欧州環境基準を満たすための近代化投資をめぐり、ブルガリア国営のBEHとの合弁交渉が合意に至らなかったためだ。ブルガリア政 […]

チェコ国営電力のCEZは2日、来年からブルガリアのヴァルナ石炭火力発電所の操業を停止すると発表した。欧州環境基準を満たすための近代化投資をめぐり、ブルガリア国営のBEHとの合弁交渉が合意に至らなかったためだ。ブルガリア政府は冬に向けた予備力として同発電所の重要性を強調しているが、今後の対応については方針を明らかにしていない。

ヴァルナ発電所は出力1,260メガワット。ブルガリアの電力供給において、突発的な事態に備えた待機予備力(コールド・リザーブ)として位置づけられている。2007年のブルガリア欧州連合(EU)加盟に先立ち、移行措置として欧州基準の適用期限を今年末まで延ばすことが認められた。

CEZは06年に同発電所を2億600万ユーロで完全買収し、1億ユーロを追加投資した。当初は1億ユーロをかけて自力で近代化を進める計画だったが、電力価格の低下で採算性が確保できないとして中止した。その後、BEHとの合弁による計画実施案が浮上して検討していたが、今回、やはり採算性を問題として交渉を中止した。CEZでは、売却あるいは賃貸の可能性を探る方針だ。

ブルガリア経済省は先ごろ、電力需要が増加する冬を迎えることや、ウクライナ紛争の影響でロシア産ガスの調達に支障が出る可能性を指摘。ヴァルナ発電所の操業継続を望む立場を示した。ただ、その時点では合弁交渉決裂時に発電所を買い戻すかどうかなど、政府の対処の可能性については姿勢を明らかにしなかった。