2014/12/17

総合 - 東欧経済ニュース

ハンガリー、原発新設をロシアに委託

この記事の要約

ハンガリー政府は9日、パクシュ原子力発電所に原子炉を新設するプロジェクトをロシア原子力公社(ロスアトム)のエンジニアリング子会社アトムエネルゴプロエクトに発注する契約に調印したと発表した。ウクライナ情勢をめぐり欧州連合( […]

ハンガリー政府は9日、パクシュ原子力発電所に原子炉を新設するプロジェクトをロシア原子力公社(ロスアトム)のエンジニアリング子会社アトムエネルゴプロエクトに発注する契約に調印したと発表した。ウクライナ情勢をめぐり欧州連合(EU)とロシアの関係が悪化する中、ハンガリーのロシア寄りの立場を改めて内外に示した形だ。

政府発表によると、契約内容には建設工事に加え、保守業務、核燃料供給、使用済み燃料処理も含まれる。発注規模は125億ユーロで、うち100億ユーロをロシアからの低利融資で賄う。

出力各1,200メガワットの原子炉2基を新設する。2018年に着工し、1基は2025年、もう1基は26年に稼働する予定だ。建設工事の約40%をハンガリー企業が下請け受注する。

今回の契約については、◇入札を実施しなかった◇アトムエネルゴプロエクトが選ばれた理由は15年間、非公開◇国家保安を理由に契約詳細の公開を制限――という秘密主義が批判されている。また、米国などは、ロシア製原子炉の採用で、ハンガリーのロシアに対する依存が高まると強い懸念を示している。ハンガリーは現在でも石油・天然ガスの8割弱をロシアから調達している。

パクシュ原発はブダペストの南方約100キロに位置するハンガリー唯一の原子力発電所だ。1983年に稼働を開始し、ソ連製原子炉4基が稼働する。ハンガリーの電力需要の約4割を供給している。

■政府の親ロ政策の一環

ハンガリー科学アカデミー(MTA)世界経済研究所のアンドラーシ・デアーク上級研究員は、今回の発注を政府の親ロシア路線の一環と位置付ける。「パクシュ原発は現行でも32年までの運転が認められており、原子炉新設の差し迫った理由はない。ロシアとの関係強化に向けた駒の一つだろう」と話す。

◇今年1月の原発プロジェクト発注決定◇9月のロシア産ガスの対ウクライナ輸送中止◇サウス・ストリーム計画推進を最後まで支持――とハンガリーはEUの一員であるにもかかわらず、事あるごとにロシア寄りの立場を明らかにしてきた。デアーク研究員は、政府は表向きに新しい資源調達先の開拓する政策を掲げる一方で、水面下ではサウス・ストリーム計画再開への可能性を探っていると指摘。ロシアとの関係強化の動きが今後も続くと予測している。(11月12日号「ハンガリー首相、サウス・ストリーム計画を支持」、10月15日号「ハンガリー、原発拡張でロシアと提携」、1月22日号「ハンガリー、原子炉2基をロシアへ発注」を参照)