欧州連合(EU)の再生可能エネルギー指令の実施に必要な国内法の整備を怠ったとして欧州委員会がポーランドを欧州司法裁判所に提訴している問題で、欧州裁は11日、同国が制裁金を支払うべきであるとの法務官見解を発表した。
2009年に施行された再生可能エネルギー指令は、20年までにエネルギー需要の少なくとも20%を再生可能エネルギーで賄うことを目標に掲げている。EU加盟国は同指令の実施に必要な国内法を2010年12月5日までに整備することが義務付けられていたが、エネルギー供給の大部分を石炭に依存するポーランドは法整備が遅れ、期限を過ぎても国内法化が完了していない。このため欧州委は昨年3月、同国に対して1日あたり6万1,380ユーロの制裁金支払いを求める訴えを欧州司法裁に起こしていた。
欧州司法裁のワトレ法務官は、ポーランドが再生可能エネルギー指令に基づく国内法の整備義務の不履行を続けていることを問題視。義務不履行の深刻さや期間を、同国の支払い能力などを勘案し、欧州司法裁の判決が出た日から国内法の策定作業が完了するまでの、欧州委が求める日額6万1,380ユーロの制裁金を支払うべきであるとの見解を示した。
法務官の見解に法的拘束力はないが、欧州司法裁は大半のケースで法務官の意見に沿った判断を示している。