2014/12/17

ロシア

米グーグル、ロシア・エンジニアリング拠点を閉鎖

この記事の要約

米グーグルは12日、ロシアのエンジニアリング拠点を閉鎖すると発表した。理由は不明だが、ネット事業者によるデータ保存規定の強化との関連が推定されている。 ロシア政府は、2011~13年の反政府派デモを受けて、抗議行動の組織 […]

米グーグルは12日、ロシアのエンジニアリング拠点を閉鎖すると発表した。理由は不明だが、ネット事業者によるデータ保存規定の強化との関連が推定されている。

ロシア政府は、2011~13年の反政府派デモを受けて、抗議行動の組織に重要な役割を果たしたインターネットの規制を強化してきた。スノーデン元米安全保障局(NSA)職員の証言で米国の組織的なネット監視体制の実態が明らかになって以降は、「ロシア国民の情報保護」が理由に加わった。

ウクライナ紛争をめぐって欧米諸国との対立が激しくなる中で規制強化は進み、今年7月、ネット事業者にロシア人顧客データを国内サーバーに保存することを義務付ける新法が成立。来月の発効が決まった。反対派からは「プライバシー保護のためというよりは、米国ネット企業の事業阻害・ロシア保安当局の諜報活動強化に役立つ」との批判が出ている。

ネット事業者への締め付け強化で、すでに企業や実業家が国外へ拠点を移した例もある。米文書・画像処理ソフト大手のアドビは今年9月にロシア事務所を閉鎖した。ロシアの大手ソーシャルネットワーク・サービス(SNS)「フコンタクチェ」の創業者パヴェル・ドゥルヴォ氏は今年4月、新オーナーで政府に近いありシェル・ウスマノフ氏と対立して事業を離れた。国外で新サービスを立ち上げる意向だ。

グーグルも、政府から特定アドレスへのリンク削除を命じられるケースが急増し、当局との関係は緊迫化していた。エンジニアリング以外の拠点は維持し、閉鎖拠点の従業員には国外での雇用を提案するという。