2014/12/17

CIS諸国

米シェブロン、ウクライナ・シェールガス開発から撤退

この記事の要約

ウクライナのヴァレリー・チャーリー大統領府副長官は15日、米石油メジャーのシェブロンが同国のシェールガス開発事業から撤退する見通しであることを明らかにした。内戦で経済が疲弊(へい)するウクライナにとって、総額100億米ド […]

ウクライナのヴァレリー・チャーリー大統領府副長官は15日、米石油メジャーのシェブロンが同国のシェールガス開発事業から撤退する見通しであることを明らかにした。内戦で経済が疲弊(へい)するウクライナにとって、総額100億米ドルの大型プロジェクトの中止は大きな痛手だ。撤退の理由は不明だが、現地メディアはエネルギー企業への課税を強化する新政府の方針が原因とみている。

ウクライナ政府は民主化運動が活発化する直前の昨年11月、シェブロンと西部オレスク・ガス田に関する生産分与協定(PSA)を締結した。期間は50年で、最初の2~3年間でシェブロンが探索費として3億5,000万ドルを投資することになっていた。

現地の業界アナリストであるマルニチ氏はウクライナにおけるシェールガス開発の魅力が小さくなっている理由として、◇原油価格の下落◇ポーランドやリトアニアの類似する地層における埋蔵量が予想を大きく下回った◇ウクライナ情勢の不安定化でリスクが増大◇課税問題――を挙げる。

英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルも東部ユジフスク・ガス田の開発で政府とPSAを結んだが、親ロシア派武装勢力との戦闘で計画を凍結した。探索作業に入れるのは、東部情勢が安定してからと判断してのことだ。(東欧経済ニュース2013年1月30日号「ウクライナ、シェールガス開発でシェルと契約」、12年5月16日号「ウクライナのシェールガス事業免許、シェルとシェブロンが落札」を参照)