2014/12/17

コーヒーブレイク

まずは仕事、それから結婚~ロシア

この記事の要約

ロシア人の結婚年齢が上昇している。専門家は、ソ連崩壊後、学歴・出世の重視、女性の社会進出などで価値観が変わったためと説明する。欧米の1970年代と同様、若者はまず勉強し、安定した収入のめどが立ってから結婚しようと考えるよ […]

ロシア人の結婚年齢が上昇している。専門家は、ソ連崩壊後、学歴・出世の重視、女性の社会進出などで価値観が変わったためと説明する。欧米の1970年代と同様、若者はまず勉強し、安定した収入のめどが立ってから結婚しようと考えるようになり、結婚に役所や教会のお墨付きは要らないという人も増えたようだ。

連邦統計局(ロススタット)によると、新郎・新婦のうち、18~24歳が占める割合は10年前の40%から今では20%に半減した。最も多いのは25~34歳で、結婚よりもまずは自己実現や社会的成功、出世、物質的豊かさといった自らの希望をかなえたいと考える人が増えている。

心理学者のトロフィモヴァさんは、「学生結婚が減っている理由をみると、社会の変化が分かる」と話す。事実婚を認める人が多くなり、以前は結婚する動機となっていた「相手との同居、出産、安定、社会的地位、親からの独立」といった要素が結婚せずとも手に入るようになった。

また、仕事で出世することが以前よりも大事になっていることも主な理由の一つだ。いきおい、子どもを持つ年齢は高くなり、結婚の必要性は遠のく。

同じく心理学者のロマンツェヴァさんはこの点を重視する。「まともな仕事に就こうと思えば大卒の学歴が要る。それに、ソ連時代と違って、今では家族を養う収入を得る可能性があるし、お金を使う(物を買う)こともできる」と指摘。人生の可能性が広がるにつれて結婚は誰もがするものではなくて、何らかの自覚と責任を伴う出来事に変化したと説明している。

ただし、これが「永遠の愛」や「ともに老いるまで」に直結するかというと、そうではない。婚姻数に対する離婚数の比率は日本の27%だけでなく米国の45.8%さえも上回り、実に53%に上っている。