2015/2/11

総合・マクロ

中東欧の経済成長は内需がカギ、欧州委が冬季経済予測を発表

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は5日、冬季の経済予測を発表した。ユーロ圏の15年成長率が1.3%、16年が1.9%にとどまる見通しから、中東欧の加盟国では内需の強さがGDPの伸びを左右する要因となりそうだ。 中東欧最大のポ […]

欧州連合(EU)の欧州委員会は5日、冬季の経済予測を発表した。ユーロ圏の15年成長率が1.3%、16年が1.9%にとどまる見通しから、中東欧の加盟国では内需の強さがGDPの伸びを左右する要因となりそうだ。

中東欧最大のポーランドは、内需の好調、財政赤字改善、失業率低下が見込まれ、15年の成長予測は3.2%と中東欧で最も高くなった。秋季予測から0.5ポイントの上方修正だ。米格付け大手のスタンダード&プアーズ(S&P)も6日、独自の分析に基づき、同国の信用格付けの見通しを「安定的」から「強含み」に見直した。

14年に3年ぶりのプラス成長を示したチェコも、内需の伸びを背景として15年に2.5%、16年に2.6%の伸びが予測される。輸出の伸びは緩慢で、成長に貢献するのは16年になってからとなる。財政赤字は2%へと0.7ポイント悪化する。EU助成金を活用した投資支出の拡大や、公務員賃金引上げ、社会保障費拡大で、歳出が増えるためだ。16年は1.5%へ縮小する。

スロバキアも同様に、内需のけん引で15年2.5%、16年3.2%の成長が見込める。

一方、ハンガリーの15年成長率は2.4%と、昨年の3.3%から減速する見通しだ。昨年の成長が、EU助成金の利用増加や政府の中小企業支援といった特別要因によって支えられていたため、その反動が出る。

ルーマニアは14年の成長率(推定)が3%と、秋季予測から1ポイント引き上げられた。15年は2.7%、16年は2.9%で、それぞれ0.3ポイント、0.1ポイント上方修正された。

ブルガリアは15年の成長率が0.8%と、前年から0.6ポイント減速する見通し。昨年の成長がEU助成金に関連する政府主導投資によるもので、今年はその額が減ると予測されるためだ。

加盟国以外では、トルコの成長率を15年3.7%、16年4%と予測。春季予測からそれぞれ0.4ポイント、0.3ポイント引き上げた。個人消費を中心とする内需拡大が力となる。

一方、ロシアは14年の成長率が0.5%にとどまったと推定される。15年は投資・個人消費の縮小、失業率などがさらに悪化し、経済は3.5%縮小する見通しだ。16年にはやや持ち直し、0.2%のプラスとなる。