2015/2/11

総合・マクロ

独仏首脳が調停役に、ウクライナ内戦激化で

この記事の要約

ウクライナ東部における戦闘激化を受け、独仏首脳が調停に動き出した。5日にキエフでポロシェンコ大統領と、6日にモスクワでプーチン大統領と会談し、昨年9月のミンスク協定を基盤に、和平への道筋を示す新たな文書を作成することで合 […]

ウクライナ東部における戦闘激化を受け、独仏首脳が調停に動き出した。5日にキエフでポロシェンコ大統領と、6日にモスクワでプーチン大統領と会談し、昨年9月のミンスク協定を基盤に、和平への道筋を示す新たな文書を作成することで合意した。11日にベラルーシの首都ミンスクでウクライナと独仏ロ首脳会談を開く予定で、共同文書採択に向けた難しい調整が進められている。

内容については極秘で、独仏首脳の提案した新停戦ラインについてポロシェンコ大統領が拒否していることしか伝わっていない。ウクライナとロシアの距離は依然として大きく、合意が成立するかどうかは不透明だ。独ミュンヘンで8日閉幕した国際安全保障会議でも、ウクライナ政府への武器供給を検討する米国、ウクライナ危機の原因を欧米に求めるロシア、ロシアの国際法違反を確認しながらも現実政策を進めようとするドイツの立場の違いが明確になった。メルケル独首相は現状の難しさを認識したうえで、長期的視野に立った外交努力で解決を試みるべきと演説した。強硬的な措置がロシアの態度を硬化させ、和平を難しくするとみて、ウクライナ政府軍への武器供給だけでなく、欧州連合(EU)の制裁強化についても慎重な立場だ。

この考えに沿い、9日にはワシントンでオバマ米大統領と会談し、まずは外交的解決を模索することで大統領の同意を得た。EUでも9日に決定された対ロ制裁強化の発動を16日まで延期することに成功した。

ウクライナでは民主化を求める市民デモが拡大し、昨年2月にヤヌコビッチ大統領(当時)が失脚した。3月にロシアがクリミア半島を併合し、4月には東部における政府軍と親ロ勢力の軍事衝突が本格化した。9月に停戦と和平に向けた手続きを定めるミンスク協定が成立したが、重兵器の排除、ロシア国境検査の強化といった根幹を成す条項が守られず、今年に入って戦闘が再び激化している。(後続記事参照)