2015/9/9

CIS諸国

EBRD、アルメニアの事業環境向上に官民政策対話を活用

この記事の要約

欧州復興開発銀行(EBRD)は1日のプレスリリースで、アルメニアにおける事業環境改善のために官民の政策対話を活用し成果を上げていると発表した。同行は2007年以来、産業界と政策担当者の間の対話を促進するプラットフォームを […]

欧州復興開発銀行(EBRD)は1日のプレスリリースで、アルメニアにおける事業環境改善のために官民の政策対話を活用し成果を上げていると発表した。同行は2007年以来、産業界と政策担当者の間の対話を促進するプラットフォームを形成。成果を政府の政策に反映させてきた。

アルメニアにおける成果としては、同行が開始した「初期移行諸国(ETC)イニシアチブ」の一部として行われてきた産業界と政策担当者間の政策対話の場である投資諮問委員会の活動がある。ETCイニシアチブはコーカサス地方及び中央アジア諸国の中小企業の事業環境を改善することを目的とするもの。アルメニアではビジネス支援室(Business Support Office:BSO)が設置され、ビジネスや投資環境に関連する問題について政府と民間の議論を促進し、政府の改革推進の技術的な支援をしたり、政府にフィードバック行うなどしてきた。

具体的な成果としては徴税システムの改革がある。同国では企業に対する税務調査が頻繁に行われるといった問題が指摘されてきたため、BSOは政府と産業界が出席する投資諮問委員会で改革を検討してきた。その結果提案されたのがリスクを許容する調査と欧州連合(EU)基準の導入による税務調査の導入だった。政府が採用したこの政策により徴税システムはより効率的になるとともに消費者の保護が促進。不必要な税務調査が削減され汚職の機会が減少した。

またBSOの支援により、年間所得が1,800万ドラム(約3万3,200ユーロ)以下の家族経営の企業や、従業員数が30人未満のスタートアップ企業については所得税が減免されることになった。BSO副室長であるヴァハグ・ミナシャン氏は支援によりIT産業の成長が進むことを期待していると述べた。その他にもBSOは輸出事業者が原産地証明を得るための手続きを簡素化する改革の支援でも成果を上げている。

EBRDのフランクリン・スティーブンス投資環境・ガバナンス担当シニア・カウンセラーは「EBRDが深く関与する目的は、汚職、弱い司法、不適切な事業規制や政府と民間の対話の不足といった課題に対処する能力を強化することによって、同国の移行を再び促進することにある」と述べた。(1AMD=0.25JPY)