2015/12/9

コーヒーブレイク

博物館をキリスト教化?~トルコ

この記事の要約

トルコによるロシア戦闘機撃墜事件の波紋は意外なところまで及んでいる。両国間の関係改善に向けて、ロシアのガヴリーロフ下院議員がトルコに文化面で譲歩するよう呼びかけた、その内容がすごい。イスタンブールの風景を印象付ける「アヤ […]

トルコによるロシア戦闘機撃墜事件の波紋は意外なところまで及んでいる。両国間の関係改善に向けて、ロシアのガヴリーロフ下院議員がトルコに文化面で譲歩するよう呼びかけた、その内容がすごい。イスタンブールの風景を印象付ける「アヤソフィア博物館(寺院)を正教会に返還せよ」である。

このアヤソフィア、もとは東ローマ帝国のユスティニアヌス1世が建設させた大聖堂で、537年に完成し、コンスタンチノープル総司教座がおかれていた。1453年にオスマン帝国のメフメト2世がコンスタンチノープルを征服した後、イスラム教のモスクに転用された。1935年、ケマル・アタチュルクの世俗化政策のもとで博物館として公開され、今に至る。イスタンブールを代表する建物の一つで、町の「顔」ともいえる存在だ。

ロシア側の「提案」は、突飛というだけではない。エルドアン大統領の支持母体・公正発展党(AKP)の議員らが、アヤソフィアを「モスクとして復活させる」ことを要求してきていることを考えると、政治的なインパクトも強い。

トルコ政府は戦闘機撃墜に関する正式謝罪を拒んでおり、プーチン大統領はエルドアン大統領からの電話も受けないほど態度を硬化させている。制裁措置も発動され、そろそろ事の重大さが身に染みているころだ。

この窮地をどう逃れるのか。「聖なる叡智」を意味するアヤソフィアにすがったとしても、脱出は難しそうだ。