ハバロフスクのアムール橋が開通し、シベリア鉄道が全線、運行されるようになってから今月の18日で100年となった。世界で最も広い国にある最も長い鉄道だ。ウラジオストクからモスクワまで7日間、景色を楽しみながら旅をする。しかし、楽しむのには少々コツがいるようだ。
1等車は2人部屋、2等車は4人部屋、3等車は開放型車両で通路以外は2段ベッドが並ぶ。価格は等級が1つ上がるごとに倍になるというから、節約派は3等車を選ぶ。地元の人たちはもちろん3等車だ。
狭い車内で快適に過ごすには楽な服装が一番…というわけで、乗客は若いお母さんから体格の良いおばさん、ひげ面のチェチェン人まで、Tシャツとトレパン、スリッパ姿。まるでドレスコードがあるようだ。
3等車はプライベートな空間がない代わり、話し相手には苦労しない。英語は通用しないから、片言でもロシア語を覚えていこう。外国人は珍しいこともあり、乗っているとロシア人は好意的という。
客室乗務員とうまくつきあうためにも、ロシア語は必須かもしれない。何しろ「乗務員との人間関係が旅の良し悪しを左右する」そうだから。
食料品は持ち込みOKだが、停車駅でおばさんたちが売っているごはんもお得でおいしいらしい。お湯が車内で手に入るから、駅の売店でカップめんを買っても良い。忘れないようにしたいのは箸やスプーンなどの食器。これがあれば現地調達でなんとかなる。
以前は同じ車両のおじさんにウォッカを飲まされて大変な思いをした人もあるようだが、プーチンさんの「アルコール依存症対策」の一環で公の場での飲酒が禁じられたため、今では食堂車以外では飲めない。ある客が話すには、「寝たばこがビンからこぼれたウオッカに引火して車両火事になった事件があったため」という説もある。
これで大変な目にあっているのが食堂車の乗員だ。朝から晩まで酔っ払いの溜まり場となり、ろれつの回らない男や、ふらついて倒れる輩の「行き過ぎ」をたしなめる日々が続く。