欧州中央銀行(ECB)はエストニアの小規模行ベルソバンクAS(Versobank AS)の銀行免許をマネーロンダリング(資金洗浄)などの不正行為を理由としてはく奪した。エストニアの金融監督委員会が先ごろ明らかにしたもので、同委員会は2月8日にECBに対し同行の問題について既に通報していた。同行の預金量は比較的小さく、エストニアの銀行部門全体に対する影響はないとともに、十分な資産を持っており、顧客への対応に問題は生じない見通しだ。同行は決済取引関連サービスを中心業務としている。
ECBは同行について、マネーロンダリングとテロ資金の移動を防ぐ措置が十分ではないと批判した。マネーロンダリングなどを理由とした免許はく奪は、先月のラトビアのABLV銀に続きバルト3国では2件目。ABLVは米国の金融機関との取引停止により流動性不足に陥り、現在清算処理に入っている。
エストニア当局はベルソバンクに対し取引全般と預金の引き出しを禁止した。金融監督委員会によると、同行への預金口座保有者5,600人のうち国内に居住するのは2,000人。同行の預金量は2億5,300万ユーロで同国全体の預金量の1.5%に相当する。
ECBは同行に対し3月6日付でエストニアの金融監督委員会からの報告について通知し、同行からの回答を得るため5日間の猶予期間を置いた。しかしECBは同行から得られた回答では不十分だと判断した。
ECBによるとエストニア当局は2015年以来、同行への強制捜査で法令違反を繰り返し指摘してきたが改善されなかった。そのためECBは将来的に改善される見込みがないと判断した。
ECBは今回の措置について「同行のビジネスモデルは資金洗浄やテロ資金の供給につながりかねないもので、著しくリスクが大きい」と述べた。