ポーランド石油大手ロトス、水素燃料ステーションを整備

ポーランド2位の石油企業であるロトスが同国初の水素燃料ステーションを整備する。総額1,000万ユーロを投じ、来年末までにグダニスクとワルシャワの2カ所に充填機を合わせて50基備える供給所を設置する。欧州連合(EU)が域内のエネルギー・運輸・通信の3分野でインフラ投資を促進するための財政支援措置「コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティー」(CEF)から200万ユーロの助成を受ける。

プロジェクト実施に向け、ロトスはまずグダニスク製油所に高純度水素(99.999%)の精製設備と販売・輸送スタンドを設ける。同製油所の水素生産能力は毎時13トンだが、現在進行中の近代化が完了すると16.5トン強に拡大する。水素は乗用車が走行100キロメートル当たりおよそ1キロ、路線バスは8キロ消費するという。

ロトスは、2022年までの予定で「ブルートレイル」計画を実施している。傘下の給油所をベースとして代替燃料の供給網を整備中で、今回の水素燃料ステーション整備もその一環だ。燃料電池車(FCV)の航続距離は450キロメートルと長く、ロトスではグダニスク―ワルシャワ間を燃料供給なしに行き来できるようになると自信を示している。

ロトスではまた、燃料用途に限らず、水素はIT、医薬品、食品産業などでも需要があるとし、純水素国産化で利用が広がるとみている。

なお、カトヴィツェで開催中の第24回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP24)では、水素燃料推進を目指す国会議員グループがポーランドでのグリーンエネルギー導入の在り方を議論する討論会を開いた。シタルスキ議員(クキズ2015)は「ポーランドは未来の燃料である水素の主要生産国だ」と述べ、インフラ整備や二酸化炭素排出削減に向けた投資を踏み台に、「原油生産でクウェートが占める地位を、ポーランドは水素生産で手に入れられる」と訴えた。

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