独電機大手シーメンスがロシアでのデジタル事業拡大に乗り出している。現地ウェブ誌『Inc.Russia』がロシア子会社のリベロフ社長の談話としてこのほど報じたもので、製造業の刷新に大きく関わるビッグデータやスマートネットワーク、デジタルツインの3分野でロシア企業との提携を進める。
シーメンスはロシアで2017年に商用車大手カマズ(Kamaz)と生産工程のデジタル化やeモビリティ事業で提携したほか、国営ロシア鉄道(RDZ)とはモスクワ圏内の車庫で車両のデジタルメンテナンスの試験を行っている。リベロフ社長によると、コンピューター上で仮想的に検討対象を再現するデジタルツイン分野ではエネルギー、化学、食品製造業との提携が有望で、すでにガス大手ガスプロム、石化大手シブール、石油大手ルクオイルと交渉が進んでいる。
シーメンスは昨年、ガスタービン事業において、ロシアの顧客に納品した製品がウクライナと係争中のクリミアに設置されていたことが発覚した。クリミアとの取引は米国・欧州連合(EU)による経済制裁措置の対象となっており、独検察局が捜査中という微妙な状況にあるが、ロシア事業は継続する方針だ。リベロフ社長は大型ガスタービンの現地生産への投資を検討していることを示唆した。