ロシアとウクライナの関係がにわかに緊張している。ロシアのプーチン大統領が4月24日、親ロ派が実権を握るウクライナ東部の住民に対し、ロシア国籍の取得を簡易化する大統領令を発布したためだ。大統領選挙が終了したばかりのウクライナにゆさぶりをかける狙いとみられる。
大統領令に対し、ウクライナのポロシェンコ大統領は「併合への準備」と厳しく批判。ゼレンスキー次期大統領も国際社会に「対ロ制裁の強化」を呼び掛けた。また、政府は国連安全保障理事会に提訴した。
プーチン大統領は大統領令について「以前から準備を進めていた」とし、発布時期と大統領選とは関係がないとコメントした。また、「ロシア人の権利を守るために発布した」と説明し、「ウクライナ全土に措置を広げてもいい」と発言した。
ロシアは2008年の対グルジア戦争に先立ち、分離派の南オセチアとアブハジアの住民にロシア国籍を与えた。その後、「ロシア人を守る」と理由づけて軍事介入した。この経緯ため、ウクライナ側は今回の措置に「東部併合への準備」と強く反発している。また、国籍申請にウクライナ旅券の提出が求められていることも、その疑いを濃くしている。