ロシア統計局(ロススタット)が先ごろ発表した今年4-6月期(第2四半期)の国内経済動向で、新型コロナの流行を受けて自営業者の事業活動全般が停滞し、国民の総収入に占める同事業活動からの収入割合が低下したことがわかった。それによると、4-6月期の事業活動からの収入は1-3月期から40%低下。これに伴い総収入に占める割合は1-3月期の5.9%から3.5%に低下した。この数字はプーチン政権発足以降で最も小さい。2000年の政権発足当初は15%近くを占めていた。
プーチン政権は新型コロナを抑え込むため、戦略的に重要な企業を除きすべての企業の活動停止を求めてきた。代わりに給与の支払い継続の支援や社会保障の増額を打ち出したものの、最終的に国民の実質所得はコロナ前と比べ約8%減少した。これは1999年以来最大の下落幅だ。
今年4-6月期の国民一人当たりの平均収入は3万2,854ルーブル(約380ユーロ)と4万ルーブルを下回った。企業は収入のほぼ半分を失っている。特に中小企業は苦境に喘いでおり、政府支援を求める声が高まっている。独経済紙『ハンデルスブラット』によると、企業の中には事業を譲渡したり、違法な経済活動に手を出すところも出始めた。
収入に占める事業所得の割合は経済への国家の介入が増加すると共に低下してきた。コロナウイルスの影響による景気の低迷はその傾向を加速させている。経済全体に占める国営企業の割合はおよそ70%に上っており、国が経済に介入する余地が増えている。
経済に占める中小企業の割合も近年縮小している。2017年に国内総生産(GDP)に占める中小企業の割合は22%だったが、18年には20.2%まで低下した。今年はさらに下がるものと予想されている。(1RUB=1.45JPY)