世界銀行は22日に発表した西バルカン経済秋季予測で、同地域6カ国の今年の経済成長率を4.8%のマイナスとし、春季予測のマイナス3.1%から下方修正した。新型コロナの流行が主因だ。西バルカンの景気回復は、パンデミックの進行状況、ワクチン開発、主要取引先である欧州連合(EU)の継続的な景気回復などの要素に左右され、先を見通すのは困難な状況にある。
西バルカン経済予測では、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、モンテネグロ、北マケドニア、セルビアの6カ国が分析の対象だ。春の新型コロナ流行の第一波ではいずれの国も、内需・外需の縮小、ロックダウンなど感染抑制対策によるサプライチェーン(供給網)の障害で大きな打撃を受けた。
6月半ば以降の第二波により景気の回復も遅れている。加えて、経済の観光産業への依存度が高い国々では、旅行制限やソーシャルディスタンスの確保といった措置が足を引っ張る。
各国政府はコロナ対策として雇用維持や貧困層の支援措置を実施したが、それでも失業者・貧困者の数が増加し、過去数年の雇用対策の成果が帳消しになった形だ。税収が減る中で政府支出は増えており、今後数カ月は労働市場への圧力が続く見通しだ。
世銀では今後の課題として、人材育成、公的機関の機能向上、法の統治の強化を挙げた。また、新型コロナに対応する政府支出の増加で各国の財政均衡へのハードルが上がっていることも指摘した。