ルーマニアのロボットメーカー、モジュラボ(Modulab)の開発した自走式消毒ロボットが医療機関におけるコロナウイルスの除去に活躍している。同ロボットは殺菌効果の高い紫外線C波(UV-C)を照射するランプを備えており、20平方メートルの空間を衣服や機器も含め約10分間で除菌することができる。動作時間が長いことも特徴で、医療機関の限られた人員をロボット操作に割かずに済むメリットがある。
同ロボットはルーマニアの細菌学者の名前にちなみ「ビクトル」と命名された。ブカレスト大学の付属病院が導入しており、今後国内の他病院のほかオフィスやホテルなどでも採用が予定されている。
モジュラボはこれまでに産業用ロボットやヒューマノイド(人型ロボット)、多数のロボットを同時に運用するスワームロボット(群ロボット)などを開発してきた。「ビクトル」は当初、工場の清掃や部品の運搬用途などに向けて、障害物があるような複雑な環境に対応できる自律型ロボットとして開発されていたが、新型コロナの流行を受け方針を転換し、紫外線装置を装備するなどした。
同社は欧州連合(EU)の研究開発プログラム「ホライズン2020」の支援を受けているほか、欧州復興開発銀行(EBRD)とも協力し、事業の最適化やプロセスの標準化、生産拡大を図ってきた。製造機器の配置や生産工程を見直すことで、工場の生産スペースを当初の1,000平方メートルから105平方メートルまで削減。生産に要する時間も当初の14日間からわずか1日に短縮した。