ロシアのサマーラ大学が高効率の極低温液体窒素エンジンの開発を進めている。同エンジンは液体窒素のような極低温燃料を高圧の蒸気に転換してピストンを駆動させるもので、熱を排出しないことから無人飛行機や自然保護区などでの輸送機器への利用が期待されている。同大学では現在、極低温燃料の貯蔵システムの試験を実施し、性能の向上を図っている。
極低温エンジンでは燃料の貯蔵システムが最も大きな技術的課題となる。サマーラ大学の研究者によると、開発された貯蔵システムでは極低温燃料を液体と気体の両方の状態で保存可能で、極低温燃料の再ガス化に必要な時間を制御できるのも特長だ。
同大の開発する極低温エンジンは同じ出力を持つ従来型の内燃機関と同様の重量や大きさとなる。燃費は1キロワット時当たり5キログラムから15キログラムと見積もられている。
極低温エンジンは環境への負荷が低く、様々な用途に利用できる。サマーラ大の研究者は例としてドローンを挙げる。極低温エンジンを搭載したドローンは空中に放熱しないため、赤外線装置で航跡をたどることができない。また液体窒素エンジンから排出される窒素は大気の78%を占めるもので環境汚染にはならないとされている。
同大によると、開発中のシステムの市場投入には3年から4年かかる見通し。